僕に依存してほしい。【ピュアBL】
 悠生くんはマンションの5階に住んでいる。エレベーターに乗るとふたりは無言。

 勢いで悠生くんの家に行くことになったけれど、微妙だったかな?

 悠生くんには優しくしてもらったりしていたけれど、そこまで深い話をする仲でもない。どっちかと言えば僕は人と深いことを話すのが苦手なタイプだし。

 そう思いながら悠生くんをチラッと見ると微笑んでくれた。エレベーターを降り、悠生くんの住んでいるところに着いた。

「お邪魔します」

 ドアを開けると悠生くんの部屋に直行した。部屋の中は綺麗で、なんか甘いような、悠生くんっぽい匂いがする。王子の匂いかな? でも僕は怜くんの匂いが1番好き。うちのばあちゃん家の匂いとバニラの匂いが合わさった感じなの。

 どこに座ろうか迷っていると「そこに座っていいよ」と、悠生くんはベッドを指さした。座ると悠生くんも横に座った。

「悩みって、何?」
「あのね、好きな人がスマホに夢中なんだ……」
「……スマホに夢中?」
「そうなの。毎日スマホばっかり見てさぁ、もっと僕を見てほしいなって思って」

 僕はかくかくしかじか説明をした。

「なるほどね、じゃあさ、まじないしない?」
「まじない?」
「うん。これ」

 悠生くんが机からピンク色の小さな袋と紙、ボールペンを出した。

「紙に願い事を書いて袋に入れるの。それだけだよ」
「僕がそれをもらってもいいの?」
「いいよ、どうせ僕の願いは叶わない気がするからさ」

 悠生くんはしゅんとした顔になった。つられて僕もしゅんとした気持ちになった。悠生くんにも叶えたいことがあるのかな?

「歩夢くんまで落ち込むことはないよ。よし、まじないを始めよう。まずは願い事を書いてね」

 ボールペンと紙を渡されて僕は、机の上に紙を置き『怜くんが僕に依存する』と書いた。
 そして願いを書いた紙をピンク色の小さなお守り袋に入れた。
 
 効果はあるのかな?



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