貴方の声が、心が聴きたい
遥人さんは自嘲気味に言った。


「お前はな……昔から言葉をストレートに受け取りすぎなんだよ。あれは、お前が羨ましく、妬んでいる者の小言だ。将来大物になるお前が気にすることじゃない」


白崎先生が私の手当をしながら遥人さんを気遣うように言う。


「将来大物になる? そんなの、分かんないじゃん。なんでお前が決める? 俺の道は俺が自分で決める。継ぐも継がぬも俺次第だ」


そんな言葉も遥人さんには届かないようで、白崎先生を睨みつけた。

白崎先生はまたもや大きくため息をつくと、今度は何も言わなかった。


「よし、澪ちゃん、これで大丈夫。気をつけるんだよ」

「はい。ありがとうございました」


暫くして手当が終わると、すぐに遥人さんに連れ出された。


「あの、遥人さん、まだ授業なので……」

「だめに決まってんでしょ。なに考えてんの」


抵抗も虚しく、ほぼ誰も使っていない社会科準備室へと連れてこられた。


「えっと、あの……」

「さっきの、おしおきの続きだから」


そう言って、遥人さんは妖しく、そして色っぽく微笑んだ。
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