破局は極上の恋の始まり? 恋人に振られたら幼馴染にプロポーズされました【交際0日婚シリーズ】
 翌日。午前十一時前に起きた私は、ひどい二日酔いに苦しんでいた。

(これもそれも、全部朔空くんの所為だ……!)

 彼が二股なんてかけなければ、私はやけ酒をすることもなかったんだ。

 そう思いつつ、私は実家のベッドの上で悶えていた。

 大学生の頃は一人で暮らしていたものの、社会人になってからはもう一度実家に戻ってきていた私。昨日どうやって帰って来たか記憶はないけれど、多分まぁ、約束通りユウちゃんが送ってくれたんだろう。

 そういうことにしておこう。

「本当、頭痛い……」

 けど、さすがに耐え兼ねてきた。

 お母さんに二日酔いに効くものがなにかないか、聞いてみよう。幸いにも、今日のお母さんのパートはお休みだ。

(本当、情けない……)

 あと、私のお仕事がお休みだったのも不幸中の幸いだった。さすがにこの調子でお仕事は出来ないし。

 ベッドから下りて、部屋の扉を開けようとしたとき。ふと、階段の下から「葵ー!」と名前を呼ばれたのがわかった。

 ……お母さんだ。でも、その声は二日酔いの状態にはめちゃくちゃ大ダメージです。

「な、に!?」

 一応返事をすれば、階段の上る音が聞こえてきた。そして、部屋の扉が勢いよく開く。

「全く、あんたって子は。お休みだからってこんな時間まで寝て……」
「い、いいじゃない。……大体、今、二日酔いでしんどいの!」

 自分の不手際を完全に正当化してしまっている。

 視線を逸らしてそう言う私に、お母さんは「はぁ」と露骨にため息をついた。

< 19 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop