破局は極上の恋の始まり? 恋人に振られたら幼馴染にプロポーズされました【交際0日婚シリーズ】
「は、早く着替えなくちゃ!」

 さすがにこの格好はマズイ。上下ジャージなんて、仁くんの前に出られる恰好じゃない。

「え、っていうか、どんな格好をすればいいの……?」

 そもそも、この場合どういう格好が適切なのだろうか?

 恋人同士っていうわけでもないのだから、過度なおしゃれはしなくてよさそうだ。かといって、ラフな格好も、なんだかなぁ……。

「もうこの際、ちょっとおしゃれなくらいで行こう。うん、がっつりおしゃれなんてしなくてもいいわよね……」

 そう零して、私はクローゼットを開ける。

 中から素早くブラウスとロングスカートを取り出して、ジャージからさっさと着替える。

(メイクしたほうがいい? ……って、うん、絶対したほうがいい)

 元々ナチュラルなメイクしかしないけれど、しないよりはしたほうがいいだろう。

 その一心で、私はさっさと髪の毛を梳かして、メイクに移る。

 ……そうしていれば、あっという間に二十分ほどが経ち。

 私は、すっかり待ちくたびれているであろう仁くんの元に、向かった。
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