惑わし総長の甘美な香りに溺れて
「うん、実はちょっと事情があって今までこの髪隠してたんだ」

「えー!? 事情って何?」

「っていうかさ今まで顔もあまり見えないようにしてたんじゃない? なんか、かわいいんだけど」


 じーっと見られてどう対応して良いかわからない。

 流石に自分のことをブサイクだとまでは思っていないけれど、でもこんなにまじまじと見られた上でかわいいなんて言われるのは想定外だよ!


「え? ぅわ、マジだ。メチャクチャかわいくないか!?」

「ストロベリーブロンドの美少女……マジか、こんな子とクラスメートだったなんて」


 女子のかわいい発言が発端になって近くの男子も寄ってきた。

 しかも、なんかどんどん増えてくんだけど!?


「な、なあ。今日の放課後にでも一緒に遊びに行かねぇ?」

「おまっ! 抜け駆けすんなよ!?」

「え? ええ!?」


 ちょっと待って!

 これは本当に想定外!

 は、陽ー! 早く来てー!


「はいはい、男は近づくなよー?」


 私の思いが届いたのか、タイミング良く陽が来てくれた。

 まだこの間のケガは完治していないのに、平然と男子たちをかき分けて私のところに来る。

 座っている私の後ろから腕を回して、しっかりと肩を抱かれた。
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