惑わし総長の甘美な香りに溺れて
「ちょっ! なに言ってるの加藤くん!」
私は慌てて加藤くんの腕をつかんで引き留める。
あんなに仲の良いカップルだったのに、あんな奴らに景子を売るようなことするの⁉
「景子はあなたの大事な彼女でしょ⁉」
信じられない! と叫ぶと、また加藤くんから独特な薔薇の香りがした。
甘さの中にスパイシーさが際立つ、あまり嗅いだことのない香り。
「邪魔すんなよ藤沼。女を調達しなきゃないんだよ。だから景子を――いや、違う……景子はダメだ」
「え?」
「あんな奴らに景子を渡すとか……あれ? あんな奴らって、健太は友達で……?」
なぜか、急におかしなことを言い始める加藤くん。
その表情には戸惑いが現れていて、明らかに異常と分かるように瞳孔が開いている。
「ひ、久斗? どうしたの? 大丈夫?」
どう見てもおかしい加藤くんの様子に、景子は怒りも忘れて純粋に心配する。
加藤くんは、そんな景子を見て視線をぐらぐらと揺らした。
「健太に、景子を……ダメだ! 絶対にダメだ! 景子は俺の大事な彼女だ。あんな奴らに渡せるかっ!」
「久斗……」
自分の中で何かと葛藤している様な加藤くんは、心の底にある思いを吐き出すように叫んだ。
肩で息をして少し落ち着いた様子の彼に、私は静かに声を掛ける。
「加藤くん。今の加藤くん、異常だよ? 今まで何してたか、自分で分かってる?」
加藤くんの異常さに、一つ思い当たることがあって問いかけた。
私は慌てて加藤くんの腕をつかんで引き留める。
あんなに仲の良いカップルだったのに、あんな奴らに景子を売るようなことするの⁉
「景子はあなたの大事な彼女でしょ⁉」
信じられない! と叫ぶと、また加藤くんから独特な薔薇の香りがした。
甘さの中にスパイシーさが際立つ、あまり嗅いだことのない香り。
「邪魔すんなよ藤沼。女を調達しなきゃないんだよ。だから景子を――いや、違う……景子はダメだ」
「え?」
「あんな奴らに景子を渡すとか……あれ? あんな奴らって、健太は友達で……?」
なぜか、急におかしなことを言い始める加藤くん。
その表情には戸惑いが現れていて、明らかに異常と分かるように瞳孔が開いている。
「ひ、久斗? どうしたの? 大丈夫?」
どう見てもおかしい加藤くんの様子に、景子は怒りも忘れて純粋に心配する。
加藤くんは、そんな景子を見て視線をぐらぐらと揺らした。
「健太に、景子を……ダメだ! 絶対にダメだ! 景子は俺の大事な彼女だ。あんな奴らに渡せるかっ!」
「久斗……」
自分の中で何かと葛藤している様な加藤くんは、心の底にある思いを吐き出すように叫んだ。
肩で息をして少し落ち着いた様子の彼に、私は静かに声を掛ける。
「加藤くん。今の加藤くん、異常だよ? 今まで何してたか、自分で分かってる?」
加藤くんの異常さに、一つ思い当たることがあって問いかけた。