惑わし総長の甘美な香りに溺れて
秘密のお付き合い
 沼のような眠りから、ゆっくりと浮上するように目が覚めた。

 うっすらと目を開けると、見えたのは知らない天井。

 しばらくぼんやりとしながら、何があったんだっけ? と考えた。


「……っ!」


 思い出して、一気に顔に熱が集まる。

 わ、私ってばなんてことを!?

 通常の状態じゃなかったとはいえ、恥ずかしげもなく陽にすがりついてものすごいことをした気がする。

 陽に色んなところを触られて……。


「っっっ!!」


 陽にどういう顔で会えば良いの!?

 いっそ夢だったら良いのにと思うけれど、体はしっかり触れられたところを覚えていた。


 そ、それになんだか色々すごいことを言われたような……?

 私を自分のにするって決めてたとか、私をメチャクチャに可愛くしたいとか。


「っ~~~!」


 あまりの恥ずかしさに掛けられていたシーツを頭からかぶる。


 夢だ!

 幻聴だ!

 あのかわいい陽がそんなこと考えてたとか。

 ないないあり得ない!

 って、思うけれど……。


「……でも陽、いつもと違ってた」


 明るくて爽やかな、かわいい陽じゃなかった。

 暗い目をして、昏い笑みを浮かべて……。

 やっぱり、キケンな雰囲気の陽の方が本性ってことなのかな?
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