惑わし総長の甘美な香りに溺れて
「えっと、笙さんって陽のことよく知ってるんですね?」
「まあ、小さい頃からの付き合いだからな……あいつは覚えてないだろうが……」
「え?」
最後にポツリとつぶやいた笙さんは、傷の痛みに耐えるような悲しい目で紅茶を見つめていた。
覚えてないっていうのはどういうことなのか。
聞こうと思ったけれど、それを口にする前に顔を上げた笙さんに「なんでもない」と言われてしまった。
「とにかく、総長の女となったからには多少は俺たちの事情も知っておいた方がいいだろう。説明するから、ちゃんと覚えといてくれよ?」
「あ、はい。お願いします」
SudRosaのこととか、もっとちゃんと知りたいと思っていたから笙さんの言葉は私にとっても好都合だった。
「さっきNの話しても不思議そうにしてなかったってことは、Nのことはある程度知ってるんだよな?」
「はい、前にネットで調べ物をしていたときにNの情報を見つけて」
「そうか。じゃあ、SudRosaがこの南香街禁止区域を管理してることは?」
「あ、それは確か陽が言っていた気がします」
不良達に襲われたとき、現れた陽が彼らに言っていた。
SudRosaの管理する土地への無断侵入とか、Nを盗んだんだろとか。
「じゃあ、Nの管理もSudRosaがしてるってことは?」
「それは……」
Nがこの南香街禁止区域で作られているかもしれないっていうウワサがあるから、もしかしてとは思っていたけれど……。
「まあ、小さい頃からの付き合いだからな……あいつは覚えてないだろうが……」
「え?」
最後にポツリとつぶやいた笙さんは、傷の痛みに耐えるような悲しい目で紅茶を見つめていた。
覚えてないっていうのはどういうことなのか。
聞こうと思ったけれど、それを口にする前に顔を上げた笙さんに「なんでもない」と言われてしまった。
「とにかく、総長の女となったからには多少は俺たちの事情も知っておいた方がいいだろう。説明するから、ちゃんと覚えといてくれよ?」
「あ、はい。お願いします」
SudRosaのこととか、もっとちゃんと知りたいと思っていたから笙さんの言葉は私にとっても好都合だった。
「さっきNの話しても不思議そうにしてなかったってことは、Nのことはある程度知ってるんだよな?」
「はい、前にネットで調べ物をしていたときにNの情報を見つけて」
「そうか。じゃあ、SudRosaがこの南香街禁止区域を管理してることは?」
「あ、それは確か陽が言っていた気がします」
不良達に襲われたとき、現れた陽が彼らに言っていた。
SudRosaの管理する土地への無断侵入とか、Nを盗んだんだろとか。
「じゃあ、Nの管理もSudRosaがしてるってことは?」
「それは……」
Nがこの南香街禁止区域で作られているかもしれないっていうウワサがあるから、もしかしてとは思っていたけれど……。