10万円のお賽銭
昨年 1月1日

彩花side

トントントントン……


 包丁とまな板が奏でるリズミカルなメロディーが聞こえる。
お母さんお手製のお雑煮とおせちに期待を膨らませ、リビングに向かう足も自然と早くなる。


ガチャッ


リビングのドアを開ける。台所で料理をするお母さんと目が合った。


 「おはよう、お母さん。そして……、




  あけましておめでとうございます!」


ーー


 お母さんと2人でお雑煮とおせちを食べる、ささやかなお正月。
今日、1月1日は記念すべき1年の始まりの日である、


のだがーーー、


「あっそろそろ時間だ。ご馳走様〜。」

「は〜い。ごめんねぇ、彩花(あやか)。こんな日までバイトで。」


そう、私は昨日、12月31日から1月3日まで、バイトを入れている。


「いいんだよ、お母さん。私が自分から応募したバイトだからね。
 結構好きなんだ、この仕事。」

「そっか。ありがとうね。
 行ってらっしゃ〜い!」

「うん、行ってきます!」


私はお母さんに見送られ、神社へ向かった。


ーー


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