不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
社畜と愛と不倫と……
腰の痛みで目を覚ますと、そこは会社のデスクだった。
昨日、上司から休日出勤を強要された私は残業することを決めた。連勤続きの私には、一度アパートに帰って出勤するほどの体力は残っていなかった。それならこのまま仕事をしようと、一度タイムカードを押し、サービス残業をすることを決めた。その結果、寝落ちしてしまったようだ。体をゆっくりと伸ばしながら時計を見ると、もうすぐ深夜三時になろうとしていた。
この状況から分かるように、私はブラック企業で働いている。休日出勤、サービス残業は当たり前、セクハラ、モラハラ、パワハラのオンパレード。しかしそれに不満も言わずに働いている私は、会社に飼い慣らされた立派な社畜……。
全ては会社の言いなり。
まるで廃人のようなうつろな顔でパソコンと向き合い、自分の意思、良心、尊厳を放棄する日々……。
溜め息を付きながら私はパソコンを無言で打ち続ける。
分かっている。
このままではいつか、心も体も壊してしまうだろうということは……それでもこの手を止めることは出来ないし、会社を辞めることも出来ない。上司からの罵声や罵倒が飛ばぬよう神経をすり減らし、手を動かし続ける。
プライベートな時間など存在しない。
ゆっくりと眠ったのはいつだったか……?
今日こそゆっくりと休みたいとベッドに横になってみても、短時間で目が覚めてしまう。夢の中でも仕事をしているため、眠りが浅いのだ。
悪夢だ……。
上司からの罵声と、罵詈雑言で目が覚める。そのため私の体は毎朝冷や汗でぐっしょりと濡れていた。
ああ……もう嫌だ。
私はこの会社で何がしたかったのだろう。入社当時は夢に溢れていた。しかし今はあの頃どんな夢を描いていたかも、もう思い出せない。私の人生はこの会社で飼い慣らされて終わるのだろうか。
パソコンを打つ手を止めると、いつの間にか朝になっていたようで、休日出勤の社員達が顔を出し始めていた。
もう朝が来たのか……。
もう少し頑張ろう。
私は再びパソコンを打ち始めた。
< 1 / 106 >