不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。

 日曜日の休日出勤だというのに、一息でも休憩を取ろうとする社員はいない。

 過酷な環境、劣悪な労働条件……そんな中でも働き続ける社員達。

 上司が言ったから、上司が怒るから、上司が怒鳴るから、上司が殴るから……。毎日、毎日、上司という立場を利用して、私達平社員を人間とも思っていないような言動ばかり。

 上司からの暴言、脅迫、叱責、侮辱的な言葉にうつ病を発症し、一体何人の人間が辞めていったことだろう。

 それを横目に見ながらも辞められない私達は、立派な社畜とかしていく。

 オフィスの様子を死んだ魚のような目で見渡してから、私は帰り仕度を済ませ外に出た。太陽はすでに高い位置にあり、私の体を温めてくれる。太陽光を浴びるのは久しぶりだ。今は二月だというのに、随分と暖かい。コートを脱ぎたくなるような暖かさだった。

「暖かい……」

 私はひとりごちて歩き出した。




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