不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。

 三日後――。

 俺はあの女、菫花の前に立った。

 俺は女の顔を見ると怒りを押さえる事が出来ず、声を低くさせた。

「お前、ここを辞めろ」

「えっ……」

 一言だが始めて女の声を聞いた。

 何故かそれだけで体が震え、熱くなった。

 何だこれは……。

 自分の中に沸き上がる感情を抑えつける。

 奥歯を噛みしめながら眉間に皺を寄せ、女を睨みつけるとプルプルと震えていた。

 怯えている演技だろうか?

 浅ましい。

「そうやってビクビクと……。そんな演技は俺には通用しない。この阿婆擦れ女が……」

 体から発せられる熱を吐き出すように、目の前の女に冷たい言葉を吐き出した。すると女から息を呑む音が聞こえてきた。本当の事を言われて驚いたのだろうか?

 不安げに瞳を揺らし、守ってと言わんばかりに体を震わせる女。

 イライラする……。




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