不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
「そうやって男を手玉に取っているのだろう。それとも違う方法で?俺にも教えろよ」
俺は苛立ちを押さえる事が出来ずに思いっきり壁を殴り、そのまま女の行く手を阻んだ。すると大きな音に体をビクつかせた女は、自分の体を抱きしめながらガタガタと震えだした。
「何だ?か弱い女の振りか?したたかな女狐のくせに」
甘く囁く様に女の耳元で囁くも、それは恐ろしく怒気に満ちた言葉だったと思う。
俺はニヤリと口角を上げ、女から離れようとすると、女の口から聞きたくない言葉が途切れ途切れに聞こえてくる。
「紫門さん……っ……たす……けて……」
その言葉を聞いて俺は我を忘れた。
そしてもう一度、壁を力いっぱい殴り付けていた。
「やはりな……お前は……」
俺がを睨みつけると、女はガクッと膝から崩れ意識を失った。
「なっ……おい。お前、大丈夫か?」
何だ……これも演技か?
しかし、女の額には汗がジトリと浮き出していて、首筋には汗が垂れ流れている。したたり落ちていく汗が首元から何処に落ちていくのかを見つめ、ゴクリと喉が鳴った。
あり得ない。