不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。

 会社から自宅であるアパートまでは電車と徒歩で20分程度だ。菫花は電車から降り、マンションへと向かっていると、体がグラリと揺れた。

 あっ……やばいやつだ。

 私はフラつきながら座ることの出来る場所を探した。

 確かここを曲がると小さな公園があったはず……。

 菫花はフラフラとしながら公園のベンチに腰を下ろした。

 良かった……倒れずにベンチに座ることが出来た。

 安堵しながら菫花は空を仰ぎ、深呼吸をする。

 私は一体何をやっているのだろう。

 空はこんなにも青く澄み切っていて、美しいというのに何も感じない。

 はぁーー。

 いっその事、こんな会社辞めてしまおうか?

 でも、辞めてどうする?

 次の就職先は?

 お金は?

 バイトでもする?

 計画性がまるで無い。
 
 衝動的に辞めてその先に何がある?

 私には家族がいない。

 父は小さい頃事故で亡くなり、母は父の死後すぐに男と失踪した。そのため私は父方の祖父母に育てられた。その祖父母も数年前に無くなっている。私は天涯孤独のみだ。

 頼れる人は誰もいない。

 これで仕事を失えば、お先真っ暗だ。

 そんな事を思ってしまう。




< 4 / 106 >

この作品をシェア

pagetop