不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
会社から自宅であるアパートまでは電車と徒歩で20分程度だ。菫花は電車から降り、マンションへと向かっていると、体がグラリと揺れた。
あっ……やばいやつだ。
私はフラつきながら座ることの出来る場所を探した。
確かここを曲がると小さな公園があったはず……。
菫花はフラフラとしながら公園のベンチに腰を下ろした。
良かった……倒れずにベンチに座ることが出来た。
安堵しながら菫花は空を仰ぎ、深呼吸をする。
私は一体何をやっているのだろう。
空はこんなにも青く澄み切っていて、美しいというのに何も感じない。
はぁーー。
いっその事、こんな会社辞めてしまおうか?
でも、辞めてどうする?
次の就職先は?
お金は?
バイトでもする?
計画性がまるで無い。
衝動的に辞めてその先に何がある?
私には家族がいない。
父は小さい頃事故で亡くなり、母は父の死後すぐに男と失踪した。そのため私は父方の祖父母に育てられた。その祖父母も数年前に無くなっている。私は天涯孤独のみだ。
頼れる人は誰もいない。
これで仕事を失えば、お先真っ暗だ。
そんな事を思ってしまう。