不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
あいつの……菫花の口からくぐもった声が漏れる。一度菫花から唇を離すと、トロンとした顔でこっちらを見ていた。菫花の少し開いた口元には、溢れた唾液がとろりと垂れている。俺の口元にも同じように垂れてきた唾液をペロリと舐め取り、菫花の唇をもう一度塞いだ。菫花の口から漏れ出る声に、俺の男の部分が反応する。
くっ……ダメだ、抑えろ。
ダメに決まっているだろう。
そう頭でわかっていても止められない。
クソが……!
その時、俺のスマホが鳴った。
ハッと我に返った俺は菫花の肩をつかみ、突き放す様に距離を取った。すると呆然とこちらを見ている菫花の顔があったが、自然と玄関の扉が閉まり、その美くし姿は俺の視界から消えた。
危なかった……。
閉まった玄関の扉に手を置き、ホッと俺は息を吐き出し安堵した。
俺は何に安心しているんだ……。
途端に自分の行いが恥ずかしくなった。
何をやっているんだ俺は……。
あれから俺は毎日菫花を目で追っていた。
そして今も菫花を目で追っている。今日はあの日見た美しい姿では無く、いつもの地味な女の姿だった。