不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
突然の真実と二人の思いと……
*
真実――。
その時は突然訪れた。
「蒼紫お前最近、菫花さんと仲良くしているそうだな」
「は?」
「は?って違うのか?」
兄さんは何処まで知っているのだろう。
父さんと菫花の関係を……。
それとも兄さんも菫花を……?
俺は何でも無い風を装って、しれっと答えた。
「別に」
「別にって、仲よさそうに見えたが……。そうか、それなら菫花さんには近づくな」
それは菫花が兄さんのお気に入りだからか?
イライラする。
菫花は兄さんとも関係があるのか……。
「兄さんは菫花と不倫でもするの」
それを聞いた兄が、フッと口元を緩めて笑った。
「それもいいかもな」
良いわけないだろ。
俺は机を強く叩くと声を荒げた。
「何がいいんだよ。兄さんには義姉さんがいるだろう!」
怒りを露わにする俺を、兄がキョトンとした顔で見つめてきた。
「お前、何を怒っているんだ」
「不倫なんて良いわけないだろう。兄さんも、父さんも……ふざけるな!」
兄さんを睨みつけながら叫ぶと、兄さんが目を見開きながら呟いた。
「お前……まさか……」