不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
その実態は、ただ公園のベンチで話をしたり、喫茶店でお茶をしたりするものだった。体の関係があったのではと話したが、兄が「そんな事あるわけないだろう。父さんは病気だったし、菫花さんの心配ばかりしていたよ。おれは娘を見守る父親の姿だった」そう言われた。
菫花はどうして本当の事を言わなかったんだ?
俺にあれだけ嫌味を言われても、唇を噛んで耐えていた。
それも父さんへの愛故か……。
父さんは娘として接していたとしても、菫花は違ったのかもしれない……?
グッと車のハンドルを握り絞めると、焦る気持ちを抑えながら菫花のマンションへと向かった。そして今、菫花の部屋の玄関前に立ち、焦る気持ちを抑えながらインターホンを押した。しばらくして玄関の扉が開いた。
「蒼紫さん?」
驚きを隠せない様子の菫花は、俺を見上ながら固まっていた。その呆けた顔がかわいくて、俺は菫花の体を抱き寄せ、力の限り抱きしめた。
「菫花」
「えっ……」