不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
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最近菫花の様子がおかしい。仕事中だと言い、俺を避けるようになった。少しずつ心を開き始めていたのに、もう少しで菫花を本当の意味で手に入れることが出来ると思っていた矢先だった。一体どうしたと言うんだ。俺は何か間違ってしまったのだろうか?少しベタベタしすぎなのか……。グルグルと色々なことを考えているうちに、菫花との溝が深くなっていく。このままではダメだと思っていても、どうすることも出来ない。
いつから俺はこんなにも臆病になってしまったんだ。
菫花を失うことが怖くて、その手を伸ばすことが出来ないなんて。
今日こそ仕事が終わったら菫花を食事に誘って、理由を聞こう。そう思っていたのだが、菫花は仕事が終わるとすぐに立ち上がり、副社長室を出ようとしていた。
「待って菫花、話があるんだ」
俺が菫花の肩に手を乗せると、その肩が大きく跳ねた。恐る恐るといった様子で菫花が振り返ると、その瞳には涙が溜まっていた。今にもこぼれ落ちそうな涙の膜を見つめながら、俺は息を呑んだ。
何故そんな顔をする?
俺は菫花のその顔を見て、何も言えなくなってしまった。
それから菫花との溝が埋められないまま何日も過ぎていく。もどかしい日々が続き、俺は限界を迎えようとしていた。そんな時、俺は社長室に呼ばれた。