不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
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私と紫門さんが出会って半年が過ぎていた。今日はとても暑くて、蝉の鳴き添えがやけに耳につく。夕方だというのに立っているだけで汗が噴き出してきた。それをハンカチで拭き取りながら私は紫門さんを待った。いつもならニコニコとしながら紫門さんはやって来るのだが、今日は辺りが薄暗くなってきても紫門さんは姿を現さなかった。
どうしたのだろう……。
不安が押し寄せる。
「紫門さん……」
不安から紫門さんの名を声に出した時、優しい声が聞こえてきた。
「菫花さん、遅くなってすまない」
「紫門さん!」
私は紫門さんの名を呼びながら抱きついた。
「良かった……何かあったのかと……」
「すまない。心配させてしまったんだね」
紫門さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
安心する。