【受賞作】命がけの身代わり婚~決死の覚悟で嫁ぎます~
「サイラス……ではないな? お前は誰だ」
低くて冷たい皇帝の声が響いた途端、その場が凍り付いた。
「ボルツマン子爵家のスヴァンテでございます」
「やはりそうか。サイラスの近侍だな」
「お気づきでしたか」
サイラスが別人ではないかと皇帝は最初から怪しんでいた。
六年間会っていなかったとはいえ、言葉を交わせば違和感に気づく。
ローズ宮に追いやられた不遇な皇子だが、自分の息子がそこまで大胆な偽装はしないと信じていたかった皇帝はひどく落胆した。
「な、なんですって?! どうなっているの? じゃあ、お前がずっとサイラスのふりをしていたというの?」
信じられないとばかりに皇后が目を剥いて大声を上げる。完全に虚を衝かれて混乱していた。
皇帝の近くに控えていたコーベットも驚きを隠せずに固まってしまっている。
「三年前にサイラス様がローズ宮を出られてから、私が代わりを務めておりました」
「自分がなにをしたのかわかっているのか? 皇帝陛下や皇族たちを欺いて第二皇子に成りすますなどあってはならない。国家を揺るがす大罪であろう!」
皇帝の前だというのに、激高した皇后は椅子から立ち上がってスヴァンテを激しく非難した。
先ほどまで青白い顔をしてたのに、今は怒りで真っ赤に染まっている。
「弁解の余地もございません」
「三年間成りすました上に結婚までしたとは。偽者のくせに。我々をバカにしているのか。到底正気とは思えぬ!」
吐き捨てるようにそう言うと、皇后はスヴァンテを睨みつけた。
それを目にしたフィオラは恐ろしくて全身が震えてきたけれど、スヴァンテはたじろぐことなく平然と前を見つめていた。
低くて冷たい皇帝の声が響いた途端、その場が凍り付いた。
「ボルツマン子爵家のスヴァンテでございます」
「やはりそうか。サイラスの近侍だな」
「お気づきでしたか」
サイラスが別人ではないかと皇帝は最初から怪しんでいた。
六年間会っていなかったとはいえ、言葉を交わせば違和感に気づく。
ローズ宮に追いやられた不遇な皇子だが、自分の息子がそこまで大胆な偽装はしないと信じていたかった皇帝はひどく落胆した。
「な、なんですって?! どうなっているの? じゃあ、お前がずっとサイラスのふりをしていたというの?」
信じられないとばかりに皇后が目を剥いて大声を上げる。完全に虚を衝かれて混乱していた。
皇帝の近くに控えていたコーベットも驚きを隠せずに固まってしまっている。
「三年前にサイラス様がローズ宮を出られてから、私が代わりを務めておりました」
「自分がなにをしたのかわかっているのか? 皇帝陛下や皇族たちを欺いて第二皇子に成りすますなどあってはならない。国家を揺るがす大罪であろう!」
皇帝の前だというのに、激高した皇后は椅子から立ち上がってスヴァンテを激しく非難した。
先ほどまで青白い顔をしてたのに、今は怒りで真っ赤に染まっている。
「弁解の余地もございません」
「三年間成りすました上に結婚までしたとは。偽者のくせに。我々をバカにしているのか。到底正気とは思えぬ!」
吐き捨てるようにそう言うと、皇后はスヴァンテを睨みつけた。
それを目にしたフィオラは恐ろしくて全身が震えてきたけれど、スヴァンテはたじろぐことなく平然と前を見つめていた。