【受賞作】命がけの身代わり婚~決死の覚悟で嫁ぎます~
カリナなら本当にそう言いそうだ。彼女の性格を知り尽くしているフィオラはすぐに想像がついた。
カリナがいなくなる前、部屋に閉じこもって抜け殻のようになっている姿が頭に浮かんできた。
あのままおかしくなってしまうくらいなら、どこまででも逃げていい。今のフィオラはなぜかそう思えた。
「でもフォルクマーさんは、平民ですよね?」
「貴族と平民が結婚してはいけない法律はないわ。隣国にもね。旦那様も仕方なくお嬢様の結婚を許されたそうよ。ブロムベルク家とは遠縁で、身寄りのない娘だと偽ったのだとか」
たしかに貴族は貴族同士で結婚するようにと定められてはいないけれど、格式や世間体を気にするので平民との結婚は稀である。
ブロムベルク家に戻ってきたカリナをかくまっていても結婚はさせられないから、マルセルはそれならばとフォルクマーと一緒になることを許したのだ。
「今は朝から晩まで畑で農作業を手伝っていらっしゃると聞いたわ」
「お嬢様は土を触ったこともないようなお方ですよ?」
「そうなのよ。私も驚いた」
天真爛漫な箱入り娘、ワガママで世間知らずな公爵令嬢のカリナが一日中農作業をしているとは、フィオラはにわかに信じがたかった。
けれど彼女が自分の幸せを見つけたなら万々歳だ。きっと、フォルクマーという男性を本当に愛してしまったのだろう。
「フィオラ、あなたはどうするの?」
「とりあえず実家に行きます。旦那様と奥様にはきちんと手紙を書きますね」
「わかった。そう伝えるわ。元気でね」
「シビーユさんもお元気で。今までお世話になりました」
涙目になっているシビーユを見た途端フィオラも泣けてきてしまい、ふたりは最後にハグを交わした。
カリナがいなくなる前、部屋に閉じこもって抜け殻のようになっている姿が頭に浮かんできた。
あのままおかしくなってしまうくらいなら、どこまででも逃げていい。今のフィオラはなぜかそう思えた。
「でもフォルクマーさんは、平民ですよね?」
「貴族と平民が結婚してはいけない法律はないわ。隣国にもね。旦那様も仕方なくお嬢様の結婚を許されたそうよ。ブロムベルク家とは遠縁で、身寄りのない娘だと偽ったのだとか」
たしかに貴族は貴族同士で結婚するようにと定められてはいないけれど、格式や世間体を気にするので平民との結婚は稀である。
ブロムベルク家に戻ってきたカリナをかくまっていても結婚はさせられないから、マルセルはそれならばとフォルクマーと一緒になることを許したのだ。
「今は朝から晩まで畑で農作業を手伝っていらっしゃると聞いたわ」
「お嬢様は土を触ったこともないようなお方ですよ?」
「そうなのよ。私も驚いた」
天真爛漫な箱入り娘、ワガママで世間知らずな公爵令嬢のカリナが一日中農作業をしているとは、フィオラはにわかに信じがたかった。
けれど彼女が自分の幸せを見つけたなら万々歳だ。きっと、フォルクマーという男性を本当に愛してしまったのだろう。
「フィオラ、あなたはどうするの?」
「とりあえず実家に行きます。旦那様と奥様にはきちんと手紙を書きますね」
「わかった。そう伝えるわ。元気でね」
「シビーユさんもお元気で。今までお世話になりました」
涙目になっているシビーユを見た途端フィオラも泣けてきてしまい、ふたりは最後にハグを交わした。