僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「あの・・何が言いたいのか、理解に苦しむんだけど・・」

そうは言ったものの、話の流れからいくと『昔のように』俺と付き合わないかと問われたような気がする。

「翔子、俺とやり直さないか?」

「・・やり直す? どうして?」

「どうしてって・・。それがお互いに賢い選択だと思うからだよ。まぁ、それは追々話すとしてメシ食いに行こうぜ。俺、ハラ減ってん───」

私の頭の上に遠藤の視線が動き、言葉が止まる。
どうしたのかと振り返ると、私の後ろに専務が立っていた。

「遠藤さん、なぜ宮田と一緒に?」

「ああ・・すみません。たまたま通りかかったら、中に宮田さんがいるのが見えて・・僕もコーヒーでも飲もうと思っていたので」

「そうですか。宮田は僕と先約があるので、そろそろ失礼して構いませんか?」

「もちろんです。じゃ宮田さん、また・・」

遠藤はバッグを持ち、カップをダストボックスに捨てて店を出て行く。


「ところで専務。私、専務と何かお約束してましたか?」

私がクスクス笑いながら尋ねると、『んーと、今からしようと思って』と専務も笑う。

「助けに来てくださったんですよね。ありがとうございます。危うく食事に連れて行かれるところでした」

そう言うと、呆れたように専務がため息をついた。

「手が早いっていうのは、本当なんだな・・。いつも別の女性を連れていると聞くし。宮田さん、余計なお世話かもしれないけど、遠藤さんは・・」

その後にどんな言葉が続くのかと、専務をじっと見た。

「宮田さんには相応しくないよ」

そう言われて、私は目の奥が熱くなった。



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