僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「成宮さん、いらっしゃい! あれ・・女性と一緒だ」

若いバーテンダーが彼女に気づく。
それを聞きつけた俺の親友であるオーナーが、奥のワインセラーからワイン片手に出てきた。

「こんばんは、ようこそ。へぇ・・成宮が女性を連れてくるなんて初めてじゃないか? それも、こんな素敵な人を」

「え・・? 初めて・・?」

俺たちのやり取りを聞いて、彼女が不思議そうな顔をしている。

「高校時代からの成宮の悪友で、ここのオーナーの佐伯です。こいつのことなら何でも聞いてください」

「宮田です、初めまして。成宮専務の秘書をつとめております」

「へぇ、秘書さんかぁ。それにしても、なぜ秘書さんとここへ・・? あぁ〜、そういうことか。奥のカウンター、使っていいぞ」

「空いてるのか? じゃあ・・遠慮なく。行こう、宮田さん」

俺は彼女の肩をそっと押して、奥のカウンターに向かった。
そこは半個室のようになっていて、照明も落としてあるから夜景がとても綺麗に見える。

佐伯の言ったとおり、俺がここに来る時はいつもひとりで女性を連れてきたことはない。

女性とは仕事でもプライベートでも、もっとオープンな場所で飲んでいるからだ。
相手が・・俺との関係を誤解しないように。

「専務・・なぜ、私をここへ? ここは、専務の大切な場所なのでは・・」

「だからだよ。俺を高校の時から知る友人に、他の女性を会わせるわけがないだろう?」

「・・それ・・は・・」

「大切な場所には、大切にしたいと思う女性しか連れて来ないよ」

俺は、はっきりと彼女に伝えた。



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