僕の秘書に、極上の愛を捧げます

Side 翔子

どんな顔で専務を見ればいいのだろう。
何と言って、その気持ちに応えればいいのだろう。

予期せぬ専務からの告白と、その想いを乗せたキス。

気持ちの整理がつかず、私は涙をこぼした。

「どうした? 嫌だったか?」

少し困った表情でハンカチを差し出す専務に、私は泣きながら微笑んだ。


「どう気持ちを表現すればいいのか、分からないんです・・。
だけど、ひとつだけ分かっていることがあって、専務が私に触れた後、私から離れていくのが・・なんだか寂しくて」


そう伝えた後、専務は右手で目元を覆うようにして『困ったな・・』と小さく呟いた。

何を困らせているのだろう。
とはいえ、専務相手に駆け引きなんてできるはずもなく、感じていることを口にした。

「あの・・専務・・」

「ん?」

「あ、いえ・・その・・何にお困りなのかな・・と」

「それは・・。正直に言うと、もっと触れたくて困ってる」

私を見つめる視線に、身体の中心がトクンと反応する。
それって・・。

「でも、僕がそうしたいと言ったら、また宮田さんを混乱させるかもしれない。
僕にとって宮田さんだけが特別扱いだと分かってほしくて、ここに連れてきたけれど・・こんな展開になるなんて想像してなかったな」

ハハッ、と弱い笑みを浮かべ、専務はずっと握っていた私の左手を離す。

「あ・・」

「これ以上触れてたら、制御がきかなくなるからね」

専務がお互いのグラスにワインを継ぎ足し、前菜を取り分けてくれるところをずっと目で追った。

その指に。
その唇に。
そして、専務の身体に。

私も・・。
私が・・もっと触れたい。

「専務、お願いがあります」

「どうした、急に」

「・・・・朝まで・・・・専務と一緒にいてもいいですか?」

カラン。

専務の手からフォークが抜け、音を立てて床に落ちた。



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