僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「専務の・・恋人・・?」

「僕が『好きだ』と伝えて、それを聞いた宮田さんは僕と朝まで一緒にいたいって、僕を独り占めしたいって言ってくれた。
僕も同じ気持ちだ。朝まで・・・・欲を言えばもっと一緒にいたいし、ここにいる間は誰の目にも触れさせなくて済む。僕だって独り占めしたかったから・・」

専務が近づいてきて、私の腰を引き寄せた。
もう目の前に専務の顔がある。

お互いを見つめ合う視線が、強く絡み合って離れない。
どう・・したら・・いいの?

困惑していると、専務が一瞬だけ視線を外した。

「ごめん・・。シャワーは、後でもいいかな・・」

そう言って私に視線を戻し、すっ、と私を横抱きにした。

「えっ、あっ、あのっ、専務、重いですから! あの、降ろしてください!」

「重くない。ちゃんとつかまってないと落ちるぞ・・・・翔子」

「えっ」

いま、『翔子』って・・。
私を名前で呼んだ?

驚きつつも、胸がきゅっと切なくなった。
もう一度呼んでほしくて、専務の首に腕を回し、肩に埋もれながら囁いてみる。

「専務、もう一度・・・・呼んでください」

「もちろん、何度でも」

専務は私を抱き抱えたまま、寝室のドアを開けてゆっくりとベッドに降ろす。
専務も向き合うような形で隣に座り、私の髪を撫でた。

「翔子」

「・・はい」

「僕も・・いや、俺も名前で呼んでもらおうかな。ねぇ翔子、俺を『恭介』って呼んで」

「・・いきなり名前は、ハードルが・・高いです」

これまでずっと『専務』と呼んできたのだ。
『成宮さん』と口にしたことさえ無いのに、いきなり『恭介』だなんて・・。



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