僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「そうだな、翔子が呼びやすいものでいいけど、これからふたりきりの時は『専務』はナシだぞ」

そう言われて戸惑う。
どう、呼べばいいの?

グルグルと考えているうちに、もう触れそうな距離に専務の・・いや、彼の唇があった。

「きょう・・すけ・・さん・・」

聞こえるか聞こえないかの音量で、小さく呟く。

「ん?」

「恭介・・さん・・」

「上出来だよ、翔子」

彼の唇が、ゆっくりと私の唇に触れてきた。
離れては触れ、を繰り返すうちに触れている時間が長くなっていく。

後頭部に手を添えられ、もう私は逃げられなくなっていた。

逃げる気も無かったけれど、ただ甘い口づけに酔いしれる。
するりとやわらかく動く舌が、私の口内を翻弄した。

「・・ん・・・・んっ・・」

我慢できずに、声が漏れる。
それくらい気持ちが昂っているのか、どうしようもなく反応してしまう。

すっ、と彼の唇が離れ、私は目を開けた。
いつものスマートな雰囲気ではなく、吸い込まれそうな色気を彼は漂わせている。

「翔子、キスだけでそんな甘い声を出して、俺をどこまで誘惑するつもり?」

彼が私の名前を呼ぶだけじゃなく、『俺』と口にするだけでドキドキしてしまう。

「誘惑なんて・・そんなつもりじゃ・・」

ゆっくりと、彼は私の身体をベッドに倒した。
私は、私の上で四つん這いになった彼から目が離せずにいる。

すると、彼は上体を起こしてジャケットを脱ぎ、ぐっとネクタイを緩めて引き抜いた。
そしてベストとシャツのボタンを外すと、彼の上半身があらわになった。

その姿があまりにもセクシーで、瞬きすら忘れるほどだ。
引き締まったあの身体に、これから私は抱かれる・・・・そう思うだけで、下腹部の奥が疼いた。



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