僕の秘書に、極上の愛を捧げます
何が、彼女を不安にさせているのだろう。
そう思っていると、彼女が俯いて言った。

「・・恭介さん・・理紗さんは、恭介さんの婚約者なの・・・・? 私は・・どうしたらいいのかな・・」

俺が遠藤と彼女の関係を気にしているのと同じように、彼女も、俺と理紗のことを気にしているのだ。

「向こうのソファで少し話そうか」

彼女の手を引いて移動し、先にソファに座らせてから俺も隣に座った。

「理紗と俺が結婚することを望む大人たちがそれなりにいた。そうすることが、全てを上手く収める手段のように考えられていたし、未だにそう思われている。でも、俺には受け入れられなかったし、今だって受け入れていない」

こくん、と彼女が頷く。

「まだ詳しく話せないところがあって、そのせいで混乱することもあるかもしれないけど、俺が理紗と結婚することは絶対に無い。可能性はゼロだ。
俺が望んでいるのは、毎晩体温を感じられるくらいの距離で翔子と一緒に眠ること・・それだけだよ」

「それだけ・・」

「できたら、今夜からずっと・・」

そこまで言うと、彼女が両腕を俺の首に回して引き寄せた。
鼻先が触れそうな位置まで近づいた時、確かめるように彼女に尋ねる。

「翔子、抱いても・・いい? このままベッドまで連れて行くよ?」

首に回した彼女の腕が離れていかなかったのを答えだと受け取り、俺は彼女をソファから抱き上げてベッドまで移動させ、降ろすのと同時に彼女の上で四つん這いになった。

少しの間見つめ合い、キスしようと顔を近づけると小声で彼女が言った。

「あの・・恭介さん、手加減し──」

「それはできない相談だって、分かってて言ってる?」

ふっ、と彼女の口角が上がったのを確認し、唇を重ねていく。
徐々に力の抜けていく彼女の身体を、唇だけでなく舌と指も使って、隅々まで探っていった。



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