僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「出張指示がありまして、専務のサポートに伺っております。いま専務はお留守の時間帯ですが、先ほどまでこちらで資料を投影しつつミーティングをしていたものですから、そのままスペースをお借りして業務中でした」
事実だけを淡々と、丁寧に答える。
それが、一番安全な方法だ。
「・・そうだったの。確かに恭介ひとりで大変そうだったから、助かるわね。これ、良かったらあなたもどうぞ」
「お心遣い、ありがとうございます」
箱を手渡され、そのまま帰りそうな雰囲気に心の中でホッとしていると、思わぬ質問が飛んできた。
「ところで、ニューヨークにはしばらく滞在予定なのかしら」
「そうですね、新規の取引先と交渉しておりまして、その業務に目処がつくまでかと」
「まだ分からないということね。・・あなたも、このホテルに泊っているの?」
「はい、別の階に宿泊しております」
はっきりと答える私に、それ以上理紗さんが踏み込んでくることは無かった。
おそらく、本当に聞きたいことは別にあったのだろうけど。
「理紗? 何してるんだ、こんなところで」
理紗さんの後ろから彼の声がして、咄嗟にそちらに視線を向ける。
「お帰りなさい、恭介」
そう言った理紗さんの表情がパッと明るくなった気がして、私は思わず視線を逸らした。
「恭介の好きなタルトを買ってきたわ。疲れてるんじゃないかと思って」
私の手からスイーツの箱を取り戻し、彼に渡そうとする。
「ああ・・ありがとう。でも今は時間が無いから、後で食べるよ。
宮田さん、急ぎで頼みたいことがあって戻ってきたんだ。中で話そう。じゃあ理紗、悪いけど」
「分かったわ。宮田さん、また今度ゆっくり話しましょう」
「はい」
理紗さんに向かって会釈した私の横をすり抜けて、彼が部屋に入る。
私はドアを閉め、思わず『ふぅ』と息を吐いた。
事実だけを淡々と、丁寧に答える。
それが、一番安全な方法だ。
「・・そうだったの。確かに恭介ひとりで大変そうだったから、助かるわね。これ、良かったらあなたもどうぞ」
「お心遣い、ありがとうございます」
箱を手渡され、そのまま帰りそうな雰囲気に心の中でホッとしていると、思わぬ質問が飛んできた。
「ところで、ニューヨークにはしばらく滞在予定なのかしら」
「そうですね、新規の取引先と交渉しておりまして、その業務に目処がつくまでかと」
「まだ分からないということね。・・あなたも、このホテルに泊っているの?」
「はい、別の階に宿泊しております」
はっきりと答える私に、それ以上理紗さんが踏み込んでくることは無かった。
おそらく、本当に聞きたいことは別にあったのだろうけど。
「理紗? 何してるんだ、こんなところで」
理紗さんの後ろから彼の声がして、咄嗟にそちらに視線を向ける。
「お帰りなさい、恭介」
そう言った理紗さんの表情がパッと明るくなった気がして、私は思わず視線を逸らした。
「恭介の好きなタルトを買ってきたわ。疲れてるんじゃないかと思って」
私の手からスイーツの箱を取り戻し、彼に渡そうとする。
「ああ・・ありがとう。でも今は時間が無いから、後で食べるよ。
宮田さん、急ぎで頼みたいことがあって戻ってきたんだ。中で話そう。じゃあ理紗、悪いけど」
「分かったわ。宮田さん、また今度ゆっくり話しましょう」
「はい」
理紗さんに向かって会釈した私の横をすり抜けて、彼が部屋に入る。
私はドアを閉め、思わず『ふぅ』と息を吐いた。