僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「嬉しいわ」

「えっ」

「だって恭介に、そんなふうに真剣に考えられるお相手が見つかるなんて思いもしなかったし、そのお相手が、あの時助けてくれたお嬢さんなのよ?
私、恭介に会ってほしいと願っていたの。絶対にお似合いだって確信があったから」

小夜子さんはそう言うと、彼女に近づいていき手を握った。

「宮田さん・・。恭介のサポートありがとう。あなたがそばにいてくれるなんて本当に嬉しい。
恭介は私の前で、これからの人生をあなたと・・って宣言していたけれど、少しでも無理だと感じたら、『NO』を突きつけていいのよ。
私は、あなたを心から大切にしてくれる人と幸せになってほしいんだもの」

「・・・・はい」

彼女の返答に、少し間があいたことが気になった。
俺は彼女にとって、『心から大切にしてくれる人』じゃないのかもしれない・・。

それがなんだか苦しくて、俺はふたりから視線を外した。

「やっぱり、あなたたちはお似合いね」

小夜子さんはクスクスと笑って、握っている彼女の手をポンポンと撫でてから離す。

「ご縁があれば、また会いましょう。じゃあね、恭介」

「あのっ・・」

彼女が帰ろうとした小夜子さんを呼び止める。
何を・・言うつもりだ?

「・・今度は、ゆっくりお茶でも・・」

小夜子さんは一瞬驚いた顔をして、でもその後とても嬉しそうに微笑んだ。

「そうね。恭介抜きで、お友達としてでもいいのよ。美味しいケーキを出すお店を知っているから、一緒に行きましょうか」

「はい。ご連絡します」

うんうんと頷いて、小夜子さんは部屋を出ていく。
思わず俺は、はぁーーっと息を吐いた。

「なんか朝から疲れた・・」

「ふふ。コーヒーでも飲みます? それとも、朝食のルームサービスがいい?」

「じゃあ・・ルームサービスふたり分。一緒に食べてくれる?」

手配の電話をしている彼女を、後ろからやわらかく抱き締めて首元に顔をうずめた。



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