僕の秘書に、極上の愛を捧げます
「それで・・その・・」

このタイミングで言うつもりではなかったのだけれど、今なら言える気がした。
腕の中に彼女を入れたまま、言葉を紡ぐ。

「そんな決断をした俺でもいいと思ってくれるなら、一緒に歩く未来を、考えてもらえないだろうか。
いつか・・永遠の別れがきた時、幸せな人生だったと感じてもらえるように、絶対に俺が翔子を守るから」

想いの強さに、俺自身が泣きそうになる。
目の奥が熱くなって、涙で少しだけ彼女が霞んだ。

「翔子と・・結婚したい」

言い終えて、俺は目を閉じる。

「恭介さん」

「ん?」

「・・・・お返事は、いつまでにすればいいの?」

そう問われ、彼女がどんな表情をしているのか見たくて俺は目を開ける。
いつもと変わらない、静かな微笑み・・・・が、突然崩れた。

「・・・・っ、ぅっ、ぅぅ・・」

ボロボロと大粒の涙をこぼす彼女に、俺は慌ててポケットからハンカチを出す。

「翔子? ごめん、俺が困らせたんだよな。あー、急ぎ過ぎたか・・・・」

自分の都合だけで事を進めてしまったことに、今更ながら落ち込んだ。
とにかく彼女の涙を拭こうと目元にハンカチをあてる手に、彼女の手がそっと重なった。

「・・困ってない」

「えっ」

「・・びっくりして、嬉しくて、どうしたらいいか分からなくて・・・・永遠の別れがきた時・・を思い浮かべたら、すごくすごく寂しくなって・・・・」

「それで、泣いたの?」

彼女が大きく頷く度に涙の粒がこぼれる。

「・・最後まで、その時まで、俺と一緒でもいい?」

「・・・・もちろん」

「・・俺も泣きそう・・・・」

もう、泣いていた。
見られたくなくて、思わずぎゅっと彼女を抱き締める。

気づかれないように、声を整えながら彼女に確かめた。

「翔子、俺、もう翔子の返事をもらったと思っていいんだよね? 俺と、ずっと一緒だよ」

「・・うん。おばあちゃんになっても、大切にしてね」

「約束するよ」

お互いに真っ赤な目をしながらしたキスは、一生、忘れられないものになった。



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