【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「そうか。あぁ言う人間はその後する行動は大体一緒だ。……元婚約者、つまりはシェリル嬢とよりを戻そうとするだろうな」

 そもそも、血筋だけで言えばエリカ嬢よりもシェリル嬢の方が上なのだ。しかも、優秀さも桁違い。可愛いだけで成り上がってきたエリカ嬢と、『豊穣の巫女』であるシェリル嬢。どちらの方が価値があるかと問われれば、答えはすぐに導き出せる。たとえ、バカでも。

「屋敷周りの警護を増やせ。変な奴がいれば、即俺に報告するように」
「かしこまりました」

 俺の指示に、サイラスが一礼をしてすぐに返事をくれる。……いろいろと、これから大変なことになってしまいそうだ。だが、それよりも。……シェリル嬢は、元婚約者によりを戻してほしいと言われた場合、奴の元に戻ってしまうのだろうか? それが、少し不安だった。俺とシェリル嬢では年の差がありすぎるが、元婚約者だと一歳しか違わないと聞いている。……やはり、自分と年の近い男の方がいいかもしれない。でも、俺はシェリル嬢と一緒に居たい。元婚約者の元に、戻ってほしくない。

「旦那様。一つ、よろしいでしょうか?」
「……どうした」
「先日、パーティーの招待状が届きましたよね」
「……あぁ、そう言えばそうだったな」

 ……サイラス。お前は、いったい何が言いたいのだ? そう思って俺がサイラスのことを茫然と見れば、こいつは「シェリル様と、参加して来てくださいませ」という。……いや、話が飛びすぎだろう? 何故、いきなりそう言うことになる?

「何故、いきなりそう言うことになる!」

 俺が睨みつけるようにサイラスを見てそう言えば、サイラスは「いえ、旦那様はシェリル様に元婚約者の元に戻ってほしくないのでしょう?」なんてニコニコとしながら告げてくる。……やはり、サイラスには俺の心は筒抜けらしい。サイラスには、どうやら隠し事は通用しない……らしい。
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