【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】

「……旦那様。何故、旦那様がボーっと突っ立っているのですか。何故、シェリル様に誘わせるのですか。旦那様の方からお誘いしなくては……」
「べ、別に構わないだろう。……シェリル嬢の気持ちを尊重するためには……」
「それは尊重とは言いません。ただのヘタレです」

 サイラスさんはそう言って、ギルバート様の脇腹を肘で強くつつく。それを見ていると、私はやっぱりくすっと声を上げて笑ってしまって。その後、なんだか照れくさくて窓の外にふと視線を移した。窓の外では小さな鳥が飛び立ったばかりのよう。……だけど、何処か空の様子がおかしい。一雨来るかもしれない。

「シェリル様。さぁ、そうと決まりましたらドレスの支度もしなければなりませんね! クレアとマリンに採寸させて、デザイナーを明日にでも呼びましょうか」
「えっと……この間、採寸したばかりでは?」
「クレアから聞きましたが、シェリル様はあの時明らかに痩せすぎでした。今はたくさん食べてくださっているので、少し健康的になられたかと」

 ニコニコと笑ってサイラスさんはそう言うけれど……それって、裏を返せば太ったということでは? そう思い、私は「痩せなくちゃ」と呟いてしまう。社交界では痩せた方が、綺麗にドレスを着ることができると言われている。そのために、少しでも痩せて見せようとコルセットをぎゅうぎゅうに締め付ける場合が多い。……私は、今までそんなに見た目を気にしていなかったので、そこまではしなかったけれど……その、ギルバート様のお隣に並ぶ以上は綺麗になりたい。
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