【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
(何なのかしら。昨日から、胸騒ぎが収まらないわ……)

 何故か、昨日から胸騒ぎが収まらないのだ。それはまるで、嫌なことがあると直感が告げているようで。まぁ、とにかく。昨日から不安が胸の中に渦巻いて消えてくれないのだ。

「マリン。旦那様に準備が整ったと言ってきてよ」
「分かっているわよ。では、シェリル様。しばしお待ちくださいませ」

 クレアの指示に、マリンはそれだけの言葉を残して従う。そして、私はクレアと二人きりになっていた。このリスター家にはたくさんの使用人がいるけれど、正式に私付きをしているのはクレアとマリンだけ。まだ、客人という扱いだから。でも、その扱いに不満はない。むしろ、その……別の特別扱いをされてしまう、私が変に意識をしてしまうと思う。

「シェリル様」

 そんなことを考える私に、クレアはふと声をかけてくれるとにっこりと笑ってくれた。その後「……この家に、ずっといてほしいですね」と私に告げてくれた。

「旦那様には、シェリル様のような素敵な奥様が必要です。なので、是非とももっとグイグイと迫ってあげてください」
「……でも」
「『でも』なんておっしゃらないで。旦那様だって、シェリル様のことを意識されているではありませんか」

 クレアのその言葉に、私の頬がカーッと熱くなっていく。この間看病をしてもらった時、私は確かに告白紛いの言葉を受けた。……それを思い出してしまって、変に意識してしまう。あぁ、ダメよ。期待なんてしても、無駄じゃない。心の何処かがそんなことを言ったけれど、私は期待したかった。

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