【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「……私、ギルバート様のことを好いております。なので……そうおっしゃってくださって、嬉しかった」
……うん? しかし今、幻聴が聞こえた気がする。……俺のことを好いているとか、そういう幻聴が。
「私、本当はギルバート様の妻になりたいのです。……けど、私じゃ無理で」
……やはり、都合のいい幻聴がする。そもそも、こんなにも綺麗な年下の子が俺の妻になりたいなど、言うわけがない。そうだ。これは夢か幻聴だ。
(確かに、俺はシェリル嬢にそばにいてほしいといった。……妻じゃなくても、いいからと)
本当は、妻になってほしかった。だが、それは大それた望みであり、叶いもしないこと。そのため、俺はシェリル嬢に「妻じゃなくてもいい」といった。……今思えば、それは人にどう説明すればいいかがわからない関係になってしまうのだが。それに……その、シェリル嬢の新しい結婚相手探しは、完全にやめてしまったしな。
「わ、私……今日、嫉妬してくださったことが嬉しかった。エリカやイライジャ様に怒ってくださったことも、嬉しかった」
「……シェリル嬢」
「す、好き、なのです」
その言葉を聞いて、俺は自らの頬をつねる。……どうやら、これは現実らしい。あぁ、夢じゃないのか。幻聴でもないのか。そう思ったら嬉しさよりもこみあげてきたのは……怒りだった。その怒りはもちろん、シェリル嬢に向けてのものではない。……エリカ嬢と、イライジャへのものだった。
「なぁ、シェリル嬢」
そう言ってシェリル嬢の肩に軽く触れれば、シェリル嬢はこちらにまた顔を向けてくれる。だが、その目はどこか眠たそうで。……今は、俺が怒りを覚えたことを言う時ではないな。そう判断し、俺はシェリル嬢に「眠ってもいいぞ」とだけ声をかける。
「で、です、が……」
「眠いのだろう? 無理をすることはない。今日は疲れたよな。……ゆっくりと、寝ろ」
俺にもたれかかるようにシェリル嬢に伝えれば、シェリル嬢は「……ありがとう、ございます」と言って俺にもたれかかってくれた。それからすぐに聞こえてくるのは、規則正しい寝息。……眠ったか。
「本当に……あいつらは厄介だな」
エリカ嬢はシェリル嬢の不幸を願っている。ただ、イライジャの方は……エリカ嬢のことを好いているようには見えなかった。やはり、噂通り愛想を尽かしたのだろうな。
「仕方がない。……やるしか、ないだろう」
馬車の窓から外を見つめながら、俺はそんなことをつぶやいていた。いろいろと考えることは……山積みだ。
……うん? しかし今、幻聴が聞こえた気がする。……俺のことを好いているとか、そういう幻聴が。
「私、本当はギルバート様の妻になりたいのです。……けど、私じゃ無理で」
……やはり、都合のいい幻聴がする。そもそも、こんなにも綺麗な年下の子が俺の妻になりたいなど、言うわけがない。そうだ。これは夢か幻聴だ。
(確かに、俺はシェリル嬢にそばにいてほしいといった。……妻じゃなくても、いいからと)
本当は、妻になってほしかった。だが、それは大それた望みであり、叶いもしないこと。そのため、俺はシェリル嬢に「妻じゃなくてもいい」といった。……今思えば、それは人にどう説明すればいいかがわからない関係になってしまうのだが。それに……その、シェリル嬢の新しい結婚相手探しは、完全にやめてしまったしな。
「わ、私……今日、嫉妬してくださったことが嬉しかった。エリカやイライジャ様に怒ってくださったことも、嬉しかった」
「……シェリル嬢」
「す、好き、なのです」
その言葉を聞いて、俺は自らの頬をつねる。……どうやら、これは現実らしい。あぁ、夢じゃないのか。幻聴でもないのか。そう思ったら嬉しさよりもこみあげてきたのは……怒りだった。その怒りはもちろん、シェリル嬢に向けてのものではない。……エリカ嬢と、イライジャへのものだった。
「なぁ、シェリル嬢」
そう言ってシェリル嬢の肩に軽く触れれば、シェリル嬢はこちらにまた顔を向けてくれる。だが、その目はどこか眠たそうで。……今は、俺が怒りを覚えたことを言う時ではないな。そう判断し、俺はシェリル嬢に「眠ってもいいぞ」とだけ声をかける。
「で、です、が……」
「眠いのだろう? 無理をすることはない。今日は疲れたよな。……ゆっくりと、寝ろ」
俺にもたれかかるようにシェリル嬢に伝えれば、シェリル嬢は「……ありがとう、ございます」と言って俺にもたれかかってくれた。それからすぐに聞こえてくるのは、規則正しい寝息。……眠ったか。
「本当に……あいつらは厄介だな」
エリカ嬢はシェリル嬢の不幸を願っている。ただ、イライジャの方は……エリカ嬢のことを好いているようには見えなかった。やはり、噂通り愛想を尽かしたのだろうな。
「仕方がない。……やるしか、ないだろう」
馬車の窓から外を見つめながら、俺はそんなことをつぶやいていた。いろいろと考えることは……山積みだ。