【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「……旦那様。ほかに、何かおっしゃることがあるでしょう」
「……サイラス。お前は本当にお節介だな」
先ほどまで私たちの様子を無言で見つめていたサイラスさんが、ゴホンと一度だけ咳ばらいをすると、ギルバート様の肩をつつかれる。それにギルバート様は気まずそうに視線を逸らされるものの、すぐに私に向き合ってくださった。
「シェリル嬢。……俺からも一つ、いいか?」
「……は、はい」
「――俺の、正式な婚約者になってくれ」
……え? 私は、ギルバート様のお言葉にただ戸惑った。せ、正式な婚約者。それはつまり……婚姻の約束をしてくださるということ、よね? 私のことを、妻にしてくださるということ、よね? 正直なところ、私はイライジャ様のことがあるから婚約なんてあてにしていない。なのに……ギルバート様だと、別だと思ってしまう。
「わ、私で、いいのです、か……?」
「その言葉には語弊がある。シェリル嬢でいいわけじゃない。シェリル嬢がいいのだ。……シェリル嬢以外との婚姻など、考えられないと思っている。……受けてくれるか?」
そんなの、ずるいじゃない。そんな風に言われたら……断ることなんて、出来やしない。そう思いながら胸の前で手を握って立ち尽くす私に、ギルバート様は「どうだ?」と追い打ちをかけてこられる。……それが、嬉しくて、嬉しくて。私は目から涙をぽろぽろと零してしまった。……バカ。嬉しい時に泣くなんて。私の涙腺、どれだけ脆くなったのよ。
「シェリル嬢!?」
「ち、ちがっ……嬉しいの、です。私、ギルバート様の婚約者に、なりたい、です。どうか、よろしくお願いいたします……!」
「……そうか」
私の返答を聞かれたギルバート様は、私に柔和な笑みを向けてくださった。その笑みを見ていると、「あぁ、好きだなぁ」と思ってしまって。私は――ギルバート様に、抱き着いた。そんな私の突拍子のない行動も、ギルバート様は受け止めてくださる。その瞬間、使用人たちが「おめでとうございます~!」と言って拍手とお祝いの言葉をくれた。この時、私は間違いなく幸せ「だった」。
「……サイラス。お前は本当にお節介だな」
先ほどまで私たちの様子を無言で見つめていたサイラスさんが、ゴホンと一度だけ咳ばらいをすると、ギルバート様の肩をつつかれる。それにギルバート様は気まずそうに視線を逸らされるものの、すぐに私に向き合ってくださった。
「シェリル嬢。……俺からも一つ、いいか?」
「……は、はい」
「――俺の、正式な婚約者になってくれ」
……え? 私は、ギルバート様のお言葉にただ戸惑った。せ、正式な婚約者。それはつまり……婚姻の約束をしてくださるということ、よね? 私のことを、妻にしてくださるということ、よね? 正直なところ、私はイライジャ様のことがあるから婚約なんてあてにしていない。なのに……ギルバート様だと、別だと思ってしまう。
「わ、私で、いいのです、か……?」
「その言葉には語弊がある。シェリル嬢でいいわけじゃない。シェリル嬢がいいのだ。……シェリル嬢以外との婚姻など、考えられないと思っている。……受けてくれるか?」
そんなの、ずるいじゃない。そんな風に言われたら……断ることなんて、出来やしない。そう思いながら胸の前で手を握って立ち尽くす私に、ギルバート様は「どうだ?」と追い打ちをかけてこられる。……それが、嬉しくて、嬉しくて。私は目から涙をぽろぽろと零してしまった。……バカ。嬉しい時に泣くなんて。私の涙腺、どれだけ脆くなったのよ。
「シェリル嬢!?」
「ち、ちがっ……嬉しいの、です。私、ギルバート様の婚約者に、なりたい、です。どうか、よろしくお願いいたします……!」
「……そうか」
私の返答を聞かれたギルバート様は、私に柔和な笑みを向けてくださった。その笑みを見ていると、「あぁ、好きだなぁ」と思ってしまって。私は――ギルバート様に、抱き着いた。そんな私の突拍子のない行動も、ギルバート様は受け止めてくださる。その瞬間、使用人たちが「おめでとうございます~!」と言って拍手とお祝いの言葉をくれた。この時、私は間違いなく幸せ「だった」。