【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「あ、あの、クレアさん、マリンさん――」
「私たちのことは、どうか呼び捨てで」
「……では、クレア、マリン」
私が二人を「さん付け」で呼ぶと、二人はすごく嫌そうな顔をした。そのため、私は渋々二人を呼び捨てにする。そうすれば、二人はにっこりとした明るい表情に戻ってくれた。この二人は、どうやら気持ちが顔に出てしまう人種らしい。まぁ、そちらの方が分かりやすくていいのかもしれないけれど。
「わ、私は、勝手に押しかけてきたに等しいので、客人として扱わなくても……」
そうだ。私はもてなされるような客人ではない。勝手に嫁入りしに来て、勝手に押しかけてきた迷惑極まりない人間なのだ。だから、私はせめて役に立つためにメイドになりたい。タダでもいい。ここにおいてくださるのならば、働きたい。
「私、せめてメイドとしてここで働きたくて――」
「――それは、ダメでございます」
私の言葉に、マリンさんは目を閉じてそう言った。その後「……シェリル様は、貴族のご令嬢ですから」と続ける。
……私は、貴族の令嬢なんかじゃない。名ばかりの貴族だ。実際、私は虐げられて育ってきたに等しいし、大切にされた覚えなどない。今回だって、厄介払いとばかりにここに押し込まれて――迷惑ばかり、かけている。
「私たちのことは、どうか呼び捨てで」
「……では、クレア、マリン」
私が二人を「さん付け」で呼ぶと、二人はすごく嫌そうな顔をした。そのため、私は渋々二人を呼び捨てにする。そうすれば、二人はにっこりとした明るい表情に戻ってくれた。この二人は、どうやら気持ちが顔に出てしまう人種らしい。まぁ、そちらの方が分かりやすくていいのかもしれないけれど。
「わ、私は、勝手に押しかけてきたに等しいので、客人として扱わなくても……」
そうだ。私はもてなされるような客人ではない。勝手に嫁入りしに来て、勝手に押しかけてきた迷惑極まりない人間なのだ。だから、私はせめて役に立つためにメイドになりたい。タダでもいい。ここにおいてくださるのならば、働きたい。
「私、せめてメイドとしてここで働きたくて――」
「――それは、ダメでございます」
私の言葉に、マリンさんは目を閉じてそう言った。その後「……シェリル様は、貴族のご令嬢ですから」と続ける。
……私は、貴族の令嬢なんかじゃない。名ばかりの貴族だ。実際、私は虐げられて育ってきたに等しいし、大切にされた覚えなどない。今回だって、厄介払いとばかりにここに押し込まれて――迷惑ばかり、かけている。