【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「本当にシェリルは強情だな。……ならば、最終手段に移るか」
イライジャ様はそうおっしゃると、懐から短剣を取り出されると、私の首筋に押し当ててきた。その際に、少しだけ皮膚が切れたのか、私の身体に小さな痛みが走った。それが原因で私が顔を歪めれば、イライジャ様は「……命の危機を感じれば、暴走しやすいらしい」なんてけらけらと笑いながらおっしゃる。……何よ、それ。本当に――ありえないっ!
「……私、貴方の思い通りになんて、なりませんから。今が幸せ。その幸せを――自ら壊すようなこと、しませんからっ!」
本当は、今すぐにでも暴走してしまいそうだった。だって、誰も助けてくれないから。使用人たちもお屋敷の中で気絶している可能性がある。……クレアのことも、早く手当てをしなくちゃいけないのに。そう思えば思うほど、焦って、焦って。息が上手く吸えなくて、視界が歪んでいく。
「……リスター辺境伯も、執事もいない今、誰がお前を助けてくれるんだ? あぁ、そうだ。お前にはこっちの方が効果的だったか」
「――何をっ!」
イライジャ様は、私の上から退かれると、クレアの方に近づいていく。まさか、クレアを傷つけようというの? ……そんなの、許せるわけがない。
「お前は懐に入れた人間にはとても甘い。……ならば、そこの侍女を傷つけようとすれば……冷静さなど保っていられないだろう」
「やめてっ!」
クレアは、何も悪くないじゃない。傷つけるのならば、私にしてくれればいいのに……! そんなことを思えば思うほど、どんどん自分の中で何かが制御できなくなる。あぁ、どうしよう。どうしよう――助けて、助けてっ!
イライジャ様はそうおっしゃると、懐から短剣を取り出されると、私の首筋に押し当ててきた。その際に、少しだけ皮膚が切れたのか、私の身体に小さな痛みが走った。それが原因で私が顔を歪めれば、イライジャ様は「……命の危機を感じれば、暴走しやすいらしい」なんてけらけらと笑いながらおっしゃる。……何よ、それ。本当に――ありえないっ!
「……私、貴方の思い通りになんて、なりませんから。今が幸せ。その幸せを――自ら壊すようなこと、しませんからっ!」
本当は、今すぐにでも暴走してしまいそうだった。だって、誰も助けてくれないから。使用人たちもお屋敷の中で気絶している可能性がある。……クレアのことも、早く手当てをしなくちゃいけないのに。そう思えば思うほど、焦って、焦って。息が上手く吸えなくて、視界が歪んでいく。
「……リスター辺境伯も、執事もいない今、誰がお前を助けてくれるんだ? あぁ、そうだ。お前にはこっちの方が効果的だったか」
「――何をっ!」
イライジャ様は、私の上から退かれると、クレアの方に近づいていく。まさか、クレアを傷つけようというの? ……そんなの、許せるわけがない。
「お前は懐に入れた人間にはとても甘い。……ならば、そこの侍女を傷つけようとすれば……冷静さなど保っていられないだろう」
「やめてっ!」
クレアは、何も悪くないじゃない。傷つけるのならば、私にしてくれればいいのに……! そんなことを思えば思うほど、どんどん自分の中で何かが制御できなくなる。あぁ、どうしよう。どうしよう――助けて、助けてっ!