【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「……あと少し、だったのに。どうでもいいが、リスター辺境伯とはいえ、この俺を傷つけることは無理だし、罪に問うことも無理だぞ? 俺は公爵家の令息で、父は王弟だ。家の力で全部もみ消せる」
「悪いが、それも無理だ。先日、シェリル嬢が『豊穣の巫女』である可能性が高いと、国に届け出ておいた。『豊穣の巫女』を傷つけるのは、重罪に値する。どれだけもみ消そうとしても、無理だろうな」
……一体、いつの間に。私はそう思うけれど、その行動のおかげで私が助かったのもまた真実なのだろう。……それにしても、エリカはイライジャ様に利用されていただけなのね。なんというか、哀れな子だわ。どれだけ私の不幸を願っている性悪な妹だとしても、元は家族なのだから。……いや、あっちは私に家族だと思われることを嫌がるか。
「……もうすぐ、リスター伯爵領の兵士が来る。お前は、もう終わりだ」
ギルバート様のその声は、とても低くてやはりとても迫力があって。……なんだか、私は安心してしまった。あぁ、このお方は私のことを助けてくれた。……いつだって、私が困っていると助けてくださるし、弱っていると励ましてくださる。まるで私の王子様みたい。そんなこと、ギルバート様に告げたらきっと否定されてしまうだろうけれど。それでも、そう思うぐらいはいいじゃない。
「そうか。……まぁ、いいよ。けどさ、最後に……少しぐらい、壊しちゃってもいいかな?」
「何を――」
イライジャ様はギルバート様の手を振り払われると、その手をすぐに私に伸ばしてこられる。サイラスさんが慌てて私のことを庇ってくれようとするけれど、それよりもイライジャ様の動きは早くて。私は、また地面に押し付けられてしまった。しかも、今度は首元を掴まれている。……息が、出来ない。苦しい、苦しい……!
「悪いが、それも無理だ。先日、シェリル嬢が『豊穣の巫女』である可能性が高いと、国に届け出ておいた。『豊穣の巫女』を傷つけるのは、重罪に値する。どれだけもみ消そうとしても、無理だろうな」
……一体、いつの間に。私はそう思うけれど、その行動のおかげで私が助かったのもまた真実なのだろう。……それにしても、エリカはイライジャ様に利用されていただけなのね。なんというか、哀れな子だわ。どれだけ私の不幸を願っている性悪な妹だとしても、元は家族なのだから。……いや、あっちは私に家族だと思われることを嫌がるか。
「……もうすぐ、リスター伯爵領の兵士が来る。お前は、もう終わりだ」
ギルバート様のその声は、とても低くてやはりとても迫力があって。……なんだか、私は安心してしまった。あぁ、このお方は私のことを助けてくれた。……いつだって、私が困っていると助けてくださるし、弱っていると励ましてくださる。まるで私の王子様みたい。そんなこと、ギルバート様に告げたらきっと否定されてしまうだろうけれど。それでも、そう思うぐらいはいいじゃない。
「そうか。……まぁ、いいよ。けどさ、最後に……少しぐらい、壊しちゃってもいいかな?」
「何を――」
イライジャ様はギルバート様の手を振り払われると、その手をすぐに私に伸ばしてこられる。サイラスさんが慌てて私のことを庇ってくれようとするけれど、それよりもイライジャ様の動きは早くて。私は、また地面に押し付けられてしまった。しかも、今度は首元を掴まれている。……息が、出来ない。苦しい、苦しい……!