【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「旦那様のあのご様子ですと、シェリル様の新しい嫁ぎ先を見つけてくださると思います。……今まで、あのお方はそうされてきましたので」
「あ、あの、それは、いったいどういう……?」

 ギルバート様が、私の新しい嫁ぎ先を見つける……? 何も、そこまでする義理などないじゃない。そう思って私が頭上にはてなマークを浮かべていると、「……旦那様は、大層な女性嫌いでございます」とクレアさんが神妙な面持ちで言う。

「旦那様は、ご自身の元に嫌々嫁がされてきたご令嬢を、別のお方の元に嫁がせております。旦那様は、決して冷酷なお方ではございません。そりゃあ、確かに嫌いな相手には冷酷になりますよ。ですが……あの人は、ただ不器用で女性嫌いを拗らせているだけなのでございます」
「旦那様の選ばれる新しい嫁ぎ先は、しっかりとしたお方の元ですので、ご心配なく。古い伝手を使って、全力で良いご縁を探してくださると思います」
「ま、待って! それだと……ギルバート様の元を婚約者が逃げ出すという噂は――?」
「はい、旦那様ご自身が別のお方の元に嫁がされているだけでございます」

 ……なんだか、いろいろとややこしいことになっている気がする。私はそう思いながら、軽く頭を抱えた。……クレアとマリンの話を聞くに、ギルバート様は冷酷ではない。むしろ、いい人の部類に入るお方の気がする。だって、話を要約するとギルバート様は「女性嫌いを拗らせた不器用な人」になるのだもの。

「とりあえず、まずはごゆっくりとしてくださいませ。私たちは外に控えておりますので、何かあれば何なりと」

 混乱する私を他所に、クレアとマリンはそれだけを言ってお部屋の外に出て行ってしまう。残された私は、ただ茫然と天井を見上げた。私、何だかすごいところに来てしまった気がする。今更、そう思った。
< 15 / 157 >

この作品をシェア

pagetop