【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第48話 エピローグ(2)
「……綺麗に、咲いたな」
「えぇ」

 ウィリスローズを育てている一角に出向けば、そこには綺麗な赤紫色のウィリスローズが咲き誇っていた。ウィリスローズはつい先日無事に咲いた。花弁は見方によってはハート型であり、結婚式とかにぴったりかもしれない。……まぁ、私たちの結婚式がある一年後までこのウィリスローズが咲いていることはないので、使う場合はまた育て直しなのだけれど。

「シェリルは……」
「ギルバート様?」

 私が我ながら上手に育てることが出来たなぁと思っていると、不意にギルバート様が何かをおっしゃろうとする。それに疑問を抱けば、ギルバート様はつないだ手に力を込められた。……だから、私も握り返す。私も、貴方のことが好きです。そういう意味を込めたつもりだった。まぁ、その意味は伝わっていなかったらしく、ギルバート様は「シェリルは、俺のことが好きなのか?」なんて問いかけてこられたのだけれど。……片想いをし始めたころから薄々わかっていたのだけれど、多分ギルバート様は鈍感。なんといえばいいのだろうか。……一度捨てられたことが、かなり根深いトラウマになっていらっしゃるとでも、言えばいいのだろうか?

「もちろん、好きです。……今、私は手を握り返してそういう意思を伝えたつもりだったのですが?」
「そう、か。……悪いな、鈍感で」

 わかっていらっしゃるのならば、いいのだけれど。そう思いながら私がにっこりと笑って「まぁ、いいですよ」とだけ返せば、ギルバート様は「……俺も、シェリルが好きだぞ」なんておっしゃる。……それは多分、今おっしゃることじゃないでしょう。今度こそ伝わってほしくて、私がジト目でギルバート様を見つめれば、ギルバート様は「……今のも、タイミングが悪かったか」とぼやかれていた。……もう少しだけでいいので、乙女心を学んでくださいね。
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