【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「その際に、眠っていらっしゃったので毛布を掛けておいたとおっしゃっておりました。……それから、寝顔はあまり見ていないので安心してくれ、と伝えてくれと」
「そ、そう」

 ……寝顔を見られることに、羞恥心はあまりない。でも、普通の年頃の娘ならば嫌かもしれない。だから、ギルバート様はそんなことをおっしゃったのだろう。それは、すぐに分かった。……きっと、エリカならば怒り散らしていただろうし。

「ところで、シェリル様。夕食はどうなさいますか?」
「こちらに運んできてもよろしいですし、食堂に行かれても構いませんよ」

 そんな私の考えも知らないクレアとマリンは、涼しい表情でそう言う。……運んできてもらう方が、正直に言えばありがたい。しかし、ギルバート様に詳しいお話をした方が良いだろうしなぁ。あと、ギルバート様も夕食時に詳しい話をとおっしゃっていた。ならば、私が食堂に行った方が良いか。

「じゃあ、食堂に行くことに……する、わ。ギルバート様に、いろいろとお話したいこともありますし。……あと、お礼も」

 ボソッと最後につぶやいた言葉は、クレアとマリンにはしっかりと聞こえていたようで。二人は一瞬顔を見合わせた後「はい!」と勢いよく返事をしてくれた。
< 17 / 157 >

この作品をシェア

pagetop