【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「あ、あの、その……少し……」

 なんと言えば良い? なんといえば、失礼に当たらない? そう思って頭をフル回転させるものの、顔色とお腹の調子はどんどん悪くなるばかり。そんな私の様子を見られたギルバート様は、どう思われたのだろうか。食べ過ぎとか、思われたのかもしれない。まぁ、そうだったとしたらまだいいだろう。

「……シェリル嬢。少し、部屋でゆっくりと休もう。ここ数日、移動食ばかりだったみたいだからな。腹が驚いたのだろう。……立てるか?」
「は、はいぃ」

 ギルバート様はそうおっしゃると、私の身体を支えてくださる。しかし、ギルバート様の予想はある意味当たりだった。胃が食べ物を受け付けなかったというところだけ、当たっている。……だけど、やっぱり後で理由はしっかりと話そう。

「クレア、マリン。後で薬を持ってきてやってくれ。相当、辛いみたいだからな」
「かしこまりました」

 マリンがそう答えて、颯爽と食堂を出て行く。うぅ、本当にご迷惑をおかけします……。そう思っていると、私はふとギルバート様が私に触れるのを最小限にしていらっしゃることに気が付いた。……相当、女性が嫌いなのだろう。

「シェリル嬢。俺が部屋まで運ぼう。……落ち着いたら、また何か胃に優しいものを食べればいい」
「ご、ご迷惑を、おかけします……」
「いや、構わない。今後のことをもう少し話そうかと思ったが、明日に回そう。……まずは、体調を整えるところからだ」

 そうおっしゃったギルバート様は、引き続き私の身体を支えてくださる。なので、私は何とか歩くことが出来た。……本当に、情けない。まさか、高価な食材に胃が負けてしまうなんて……。

(しばらく、食事は胃に優しいものにしていただこう……)

 そして、私はそう決めた。
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