【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「……アシュフィールド侯爵家での扱いは、大体想像がついている。だが、ここではそんな扱いをするつもりは一切ない。……その、俺は、シェリル嬢のような若い女の扱い方など分からなくて、だな……。クレアやマリンに任せっぱなしになるだろうが……」

 しどろもどろになりながら、そうおっしゃるギルバート様。若い女の扱い方、か。私は身体は若いけれど、達観しすぎた結果、精神年齢は結構高めだと言われることが多い。そんな私も、若い女の部類に入るのだろうか?

「わ、私は……その、あまり、内面が若くなくて……」
「……俺から見たら、シェリル嬢は若いさ」

 確かに、そのお言葉はごもっとも……かもしれない。ギルバート様は三十三。対する私は十八。私の精神年齢は、高くて二十代後半ぐらいだろう。そりゃあ、ギルバート様からすれば若いわよね、うん。

「では、俺はそろそろ食堂に戻る。クレア、マリン。あとは任せた。……何かあったら、遠慮なく言ってくれ」
「はぃ」

 ギルバート様は、最後に私の頭を軽く撫でられると、お部屋を出て行かれた。……ふと、撫でられた頭が熱い気がする。私、こういう風に撫でられることが滅多になかったのよね……。だから、ちょっと柄にもなく嬉しいって思っちゃったのかも……。

(って、ギルバート様と私は今日が初対面。そんなことを思うなんて……図々しすぎるわ)

 しかし、私は自分にそう言い聞かせる。私はギルバート様の妻になれと命じられてここに来たけれど、ギルバート様には拒否されている。そのため、そんなことを思うなんて……ダメに決まっているじゃない。それに、そもそもギルバート様は私よりも十五も年上なのよ? 絶対に好きになるわけが……ない、じゃない!
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