【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第10話 二日目の始まり
「おはようございます、シェリル様。よく眠れましたか?」
「……んんっ、クレア?」
「はい、クレアでございます」
ゆっくりと目を開ければ、そこには私の顔を覗きこむクレアがいた。寝台から見える位置にある窓に視線を移せば、太陽が昇っておりカーテン越しに明るい光が差し込んでいた。……朝に、なってしまったのね。
「旦那様から今後のお話がしたいと、伝言を預かっております。食堂に行けますか?」
「……えぇ」
「では、お着替えをしましょう」
マリンにそう言われ、そう言えば普段着のワンピースのまま眠ったのだということを思い出す。……あぁ、やってしまった。そう思うけれど、マリンは特に気にした風もなく綺麗なワンピースを取り出してくる。そのワンピースの色は、淡い桃色だった。
「多分、シェリル様のサイズに合うと思います。……そちらに、どうぞ」
鏡台の方に視線を向け、マリンがそう言うので私は鏡台の前の椅子に腰を下ろす。そうすれば、クレアが髪の毛を櫛で梳いてくれた。その様子を鏡越しに見つめながら、私はクレアの話を聞く。
「シェリル様は、とてもお美しいですよね。磨いたらもっときれいになりますよ!」
「……そう、かしら?」
「えぇ、そうですよ。髪型は、どうされますか?」
「何でもいいわ」
クレアの問いかけにそう答えると、クレアは「では、軽く編み込みにしましょうか」と言って、私の髪の毛を弄りだす。鏡に映る私は、いつもよりも少し大人っぽく見えるだろうか。……いや、多分勘違いなのだろうけれど。