【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第18話 ギルバートとシェリルのデート(?)(3)
「……綺麗な街、ですね……!」

 それから約十分後。私はギルバート様に連れられ、フィヘーの街に足を踏み入れた。その街はさすがはリスター伯爵領で二番目に大きな街というだけはあり、とても活気に満ち溢れていて。レンガ色の街並みと、活気あふれる人々の声。それに、私は柄にもなく興奮してしまう。

(こういうところ、初めて来たわ……!)

 元より、実家では閉じ込められて育ってきたに等しい私は、こういう街に憧れていた。幼き頃にもらった絵本の街並みに、こっそりと夢を見てきた。冷めきった私にも、小さな夢ぐらいはあったのだ。

「シェリル嬢。あまり、はしゃぐなよ。……転ぶぞ」
「は、はい」

 柄にもなくはしゃぐ私に、ギルバート様はそう注意してくださる。……やって、しまったかもしれない。そう思ってゴホンと私は一度だけ咳ばらいをして、普段のような表情を作ろうとするものの、視線はキラキラとした輝かしい街並みを見つめてしまう。……本当に、小さな小さな夢が叶ったのね。

「シェリル嬢は、こういう街に来てみたかったのか?」

 視線だけではしゃぐ私に、ギルバート様は少し意外そうな声音でそう問いかけてこられた。なので、私は少し躊躇ったものの頷く。今の私は、ギルバート様にどう映っているだろうか。年甲斐もなくはしゃぐ女と、思われているのだろうか。それとも、今までの態度は何処に行ったのかと思われているかもしれない。

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