【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「私たちって、どういう関係なのでしょうか?」

やっぱり、私たちの関係性だろうか。夫婦でもない。きちんとした婚約者同士でもない。恋人でもなければ、義兄妹というわけでもない。だったら、私たちの関係性を表す言葉はないに等しい。

「……俺たちの関係は、婚約者同士だろう?」
「ですが、実際そう言う関係というわけではありません」

 確かに、周囲にはそう説明しているかもしれない。だけど、私はそう言う関係じゃないと思っている。……あえて言うのならば……やっぱり、主と居候?

「私たちの関係性を言い表せる言葉って、あるのでしょうか? ふと、そう思ってしまいまして」

 空を見上げて、そんなことをぼやく。空は青々としていて、悩みなんて一つもなさそうに見える。私の心は、悩みだらけなのにね。そう思ったら、なんだかおかしくて笑えてしまいそうだった。

「……シェリル嬢。そんな、無理に関係性を表すような言葉を探さなくても良いと思うぞ」

 悩む私に、ギルバート様はそう告げられるとサンドイッチを一度かじられる。その一口は、私よりもかなり大きくて。……先に私の方が食べ始めたのに、ギルバート様の方が食べられるスピードが速いわね。

「そうで、しょうか?」
「あぁ、俺たちみたいに意味の分からない関係だって、普通にあるだろう。……ま、俺は最近シェリル嬢のことを……その、妹みたいだなって、思うようになったけれどな」
「……そうなのですか?」

 そんなのは、初耳。……でも、やっぱり妻には思えないわよね。だって、私は十五歳も年下なのだから。

「シェリル嬢は、俺よりもずっと強いって、分かったんだ。……サイラスに、それは教えられた」
「私は、強いのでしょうか?」
「あぁ、婚約を解消されても、強かに生きている。……俺も、見習わなくちゃと思うようになった」

 ギルバート様は、私の方をまっすぐに見つめてこられると、その後、口元を緩められて「俺も、実はシェリル嬢と同じなんだ」なんて意味の分からないお言葉をおっしゃった。……え、えーっと、意味が、分からないわ。

「俺も、実は昔婚約を解消されたんだ。……それが、女性嫌いの始まりだった」

 そんな時、ふとギルバート様は空を見上げてそうおっしゃった。
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