君はまだ甘い!
キョロちゃん『夕べ大阪入りしました。只今二人で法善寺横丁を散策しています』
帝王『空港に着いた。今高速バスでなんばに向かってる』
トオル『新大阪です。人が多過ぎてどこに向かったらいいかわかりません(汗)』
(あらら。)
年末ということもあり、新大阪駅はいつにもまして帰省や国内旅行に出かける人でごった返していることは想像に難くない。
大阪の地下鉄やJR在来線に慣れていない者にとっては案内板だけを頼りに右往左往することは間違いない。
『トオルさん、大丈夫?地下鉄御堂筋線に乗ってね。七個目の駅だよ』
メッセージを打ちながら、やはり、府外から来る人たちに、この煩雑で入り組んだ繁華街での現地集合は厳しいだろうかと思い直す。
(特に、この人はのんびり、いや、ボーっとしてそうで、無理かも。)
駅で待ち合わせを提案しようかと考えていると、すぐ返信が来た。
『あちこちの人に聞いてなんとか御堂筋線に乗りました!』
続いてピースサインをした小型犬キャラのスタンプが付いた。
もう少し放置してみよう、と、マヤの中で少しの悪戯心が芽生えた。
徒歩5分と表示してあるそのお店は、案外わかりやすいところにあったので、すぐに見つかった。
時計を見ると、まだ11:45だが、店に戻って、名前を申し出た。
「六名の仲宗根様ですね。どうぞ!」
案内のスタッフに着いていくと、幅の狭い木の階段を上っていく。
ぐるぐる周りながら、各階を通り過ぎ、やっと着いたのが四階の和室であった。
十名くらいは座れそうな座敷部屋。
完全な個室なので、他に気を遣わず、ゆっくり話が出来そうで良かった。
コートを備え付けのハンガーにかけ、自分は幹事なので、一番出入り口に近い場所に腰を下ろした。
さあ、いよいよご対面だ。
スマホをかばんから取り出し、テーブルに置く。
子犬のピーススタンプ以降、新規メッセージはない。
すると個室の外から、スタッフの「どうぞ~」という声が聞こえた。
(来た!)
なぜか、掌にじんわり汗が滲んできて、顔が強張る。思わず口を「アイウエオ」の形で動かし、顔の筋肉を解した。
ガラガラっと音がして開かれた戸から女性が顔を覗かせた。
帝王『空港に着いた。今高速バスでなんばに向かってる』
トオル『新大阪です。人が多過ぎてどこに向かったらいいかわかりません(汗)』
(あらら。)
年末ということもあり、新大阪駅はいつにもまして帰省や国内旅行に出かける人でごった返していることは想像に難くない。
大阪の地下鉄やJR在来線に慣れていない者にとっては案内板だけを頼りに右往左往することは間違いない。
『トオルさん、大丈夫?地下鉄御堂筋線に乗ってね。七個目の駅だよ』
メッセージを打ちながら、やはり、府外から来る人たちに、この煩雑で入り組んだ繁華街での現地集合は厳しいだろうかと思い直す。
(特に、この人はのんびり、いや、ボーっとしてそうで、無理かも。)
駅で待ち合わせを提案しようかと考えていると、すぐ返信が来た。
『あちこちの人に聞いてなんとか御堂筋線に乗りました!』
続いてピースサインをした小型犬キャラのスタンプが付いた。
もう少し放置してみよう、と、マヤの中で少しの悪戯心が芽生えた。
徒歩5分と表示してあるそのお店は、案外わかりやすいところにあったので、すぐに見つかった。
時計を見ると、まだ11:45だが、店に戻って、名前を申し出た。
「六名の仲宗根様ですね。どうぞ!」
案内のスタッフに着いていくと、幅の狭い木の階段を上っていく。
ぐるぐる周りながら、各階を通り過ぎ、やっと着いたのが四階の和室であった。
十名くらいは座れそうな座敷部屋。
完全な個室なので、他に気を遣わず、ゆっくり話が出来そうで良かった。
コートを備え付けのハンガーにかけ、自分は幹事なので、一番出入り口に近い場所に腰を下ろした。
さあ、いよいよご対面だ。
スマホをかばんから取り出し、テーブルに置く。
子犬のピーススタンプ以降、新規メッセージはない。
すると個室の外から、スタッフの「どうぞ~」という声が聞こえた。
(来た!)
なぜか、掌にじんわり汗が滲んできて、顔が強張る。思わず口を「アイウエオ」の形で動かし、顔の筋肉を解した。
ガラガラっと音がして開かれた戸から女性が顔を覗かせた。