君はまだ甘い!
「あ、すみません。オレも行きます」
電話を終えたトオルがニコッと笑ってマヤの後ろに続いた。
「大丈夫?」
一応尋ねてみたが、
「ええ、大丈夫です」
とだけ返ってきた。
ルイ、彼女、マヤ、トオルが続々と四階の部屋に戻ると、
「よ!待ってました!」
帝王がルイと彼女に向かって声をかける。これで全員が揃った。
ルイは生ビール、彼女は運転手なのでウーロン茶を注文し、マヤとは反対側の帝王の隣に並んで着席した。
ルイが加わると一気に場は盛り上がった。
年齢のわりに世慣れた風格があり、何も言わなくても仕切ってくれるし、皆が発言できるよう気配りも完璧だ。
皆の職業や、趣味の話で一通り盛り上がったところで、ルイが、そう言えば、と言って帝王に質問を投げかける。
「帝王って独身やんな。彼女おらんの?」
四十代ともなれば、結婚もして子どもの一人や二人いてもおかしくはない年齢だ。
すでに四杯目のハイボールを口に付けていた帝王は、
「おう。半年前に別れたんだよ」
「ほ~~」
全員が興味ありげに帝王を見る。
「相手は何歳だったの?なんで別れたん?」
ルイが畳みかけるように質問をする。
「28歳。性格の不一致、だな」
「若いやん!もったいない。そんな若いのもう捕まえられんで。性格なんか適当に合わせときゃいいのに」
ルイがズケズケと言うものだから、マヤも含めて皆が苦笑いする。
「若けりゃいいってもんじゃないんだよ。それにオレはモテるんだ。ほれ、マヤももう、オレに落ちかけてるぜ、な!」
隣のマヤを親指で指差して言う。
今日ここで対面したのを機に、自分の本名を公表して、名前で呼んでもらうよう皆に頼んだ。
ルイに大声でアニメキャラのニックネームを呼ばれ、恥ずかしい思いをしたからでもある。
しかし、この鉄面皮な男に本名を、しかも呼び捨てにされるのは、不快に感じてしまう。
ルイは「マヤ、そうなん?ええやん、年も同じくらいやし」
と適当なことを嬉しそうに言う。
ちらとトオルを見ると、ニコニコしながら目の前の唐揚げを摘まんでいる。
「マヤは再婚する気あるの?」
そのままマヤに振ってくるルイ。
マヤがバツイチなのはこのメンバーの中ではすでに周知の事実である。
「ない!結婚はコリゴリ。娘がいるし、もう結婚するメリットもない。結婚なんてするもんじゃないわ」
ついついこれまで溜め込んでいた鬱憤を吐き出してしまった。
「それはお前が失敗しただけだろ。キョロちゃんとマックスは幸せそうじゃないか。トオルなんかはこれから結婚に夢を抱いて、恋愛もする。あ、今してるのか?とにかく、若者の夢をぶち壊すような事を言うな」
先ほどから帝王に対して露骨に冷たい態度をとっていたのを感じ取っていたのだろう。
帝王がマヤに突っかかってくる。
電話を終えたトオルがニコッと笑ってマヤの後ろに続いた。
「大丈夫?」
一応尋ねてみたが、
「ええ、大丈夫です」
とだけ返ってきた。
ルイ、彼女、マヤ、トオルが続々と四階の部屋に戻ると、
「よ!待ってました!」
帝王がルイと彼女に向かって声をかける。これで全員が揃った。
ルイは生ビール、彼女は運転手なのでウーロン茶を注文し、マヤとは反対側の帝王の隣に並んで着席した。
ルイが加わると一気に場は盛り上がった。
年齢のわりに世慣れた風格があり、何も言わなくても仕切ってくれるし、皆が発言できるよう気配りも完璧だ。
皆の職業や、趣味の話で一通り盛り上がったところで、ルイが、そう言えば、と言って帝王に質問を投げかける。
「帝王って独身やんな。彼女おらんの?」
四十代ともなれば、結婚もして子どもの一人や二人いてもおかしくはない年齢だ。
すでに四杯目のハイボールを口に付けていた帝王は、
「おう。半年前に別れたんだよ」
「ほ~~」
全員が興味ありげに帝王を見る。
「相手は何歳だったの?なんで別れたん?」
ルイが畳みかけるように質問をする。
「28歳。性格の不一致、だな」
「若いやん!もったいない。そんな若いのもう捕まえられんで。性格なんか適当に合わせときゃいいのに」
ルイがズケズケと言うものだから、マヤも含めて皆が苦笑いする。
「若けりゃいいってもんじゃないんだよ。それにオレはモテるんだ。ほれ、マヤももう、オレに落ちかけてるぜ、な!」
隣のマヤを親指で指差して言う。
今日ここで対面したのを機に、自分の本名を公表して、名前で呼んでもらうよう皆に頼んだ。
ルイに大声でアニメキャラのニックネームを呼ばれ、恥ずかしい思いをしたからでもある。
しかし、この鉄面皮な男に本名を、しかも呼び捨てにされるのは、不快に感じてしまう。
ルイは「マヤ、そうなん?ええやん、年も同じくらいやし」
と適当なことを嬉しそうに言う。
ちらとトオルを見ると、ニコニコしながら目の前の唐揚げを摘まんでいる。
「マヤは再婚する気あるの?」
そのままマヤに振ってくるルイ。
マヤがバツイチなのはこのメンバーの中ではすでに周知の事実である。
「ない!結婚はコリゴリ。娘がいるし、もう結婚するメリットもない。結婚なんてするもんじゃないわ」
ついついこれまで溜め込んでいた鬱憤を吐き出してしまった。
「それはお前が失敗しただけだろ。キョロちゃんとマックスは幸せそうじゃないか。トオルなんかはこれから結婚に夢を抱いて、恋愛もする。あ、今してるのか?とにかく、若者の夢をぶち壊すような事を言うな」
先ほどから帝王に対して露骨に冷たい態度をとっていたのを感じ取っていたのだろう。
帝王がマヤに突っかかってくる。