君はまだ甘い!
第5話 二人の時間
時刻は夕方5時を過ぎ、すでに日は暮れている。
カフェの2階席のガラス越しから外を見下ろすと、ネオンが溢れる通りは、夜の繁華街の賑わいを見せ始めていた。
「はーー。とにかくホッとしたよ~」
マヤはコップの水を半分ほど飲み干して、大きく息を吐いた。
「なんかすみません、付き合わせてしまって…」
テーブルを挟んで向かいに座っているのは、おろし立てのセーターに身を包み、すまなそうな表情で微笑むトオルだ。
「私のせいなんだから、トオルくんは謝らないで」
(やっぱり、イケメンは何を着ても似合うな)
感心しながら、目の前のコーヒーに視線を落とす。
湯気が立ちのぼる褐色のその飲み物を見ると、つい先ほど起きた、あの悍ましい惨劇が頭の中に鮮烈に蘇る。
身を守るための咄嗟の行動だったとはいえ、今は自責の念に駆られ、楽しかったはずの今日のイベントは、すでに苦い思い出として心に刻まれつつある。
何より、意を決して反撃したはずの相手は敵本人ではなく、今目の前で微笑んでいる、見るからに無害な青年だったのだ。
罪悪感の上塗りで、心は沈んでいく一方だ。
それは、背筋が凍った瞬間だった。
「何で?・・・」
ドリンクバーの前で、空のカップを手にしたまま呆然と立ち尽くしていたマヤは、「わわ!」というトオルの慌てた声で我に返った。
カフェの2階席のガラス越しから外を見下ろすと、ネオンが溢れる通りは、夜の繁華街の賑わいを見せ始めていた。
「はーー。とにかくホッとしたよ~」
マヤはコップの水を半分ほど飲み干して、大きく息を吐いた。
「なんかすみません、付き合わせてしまって…」
テーブルを挟んで向かいに座っているのは、おろし立てのセーターに身を包み、すまなそうな表情で微笑むトオルだ。
「私のせいなんだから、トオルくんは謝らないで」
(やっぱり、イケメンは何を着ても似合うな)
感心しながら、目の前のコーヒーに視線を落とす。
湯気が立ちのぼる褐色のその飲み物を見ると、つい先ほど起きた、あの悍ましい惨劇が頭の中に鮮烈に蘇る。
身を守るための咄嗟の行動だったとはいえ、今は自責の念に駆られ、楽しかったはずの今日のイベントは、すでに苦い思い出として心に刻まれつつある。
何より、意を決して反撃したはずの相手は敵本人ではなく、今目の前で微笑んでいる、見るからに無害な青年だったのだ。
罪悪感の上塗りで、心は沈んでいく一方だ。
それは、背筋が凍った瞬間だった。
「何で?・・・」
ドリンクバーの前で、空のカップを手にしたまま呆然と立ち尽くしていたマヤは、「わわ!」というトオルの慌てた声で我に返った。