君はまだ甘い!
「ミオ…」
ニコニコ微笑みながら目の前に現れた女性を見て、そう呟くトオルの顔が曇った。
「予選突破おめでとう!」
美しい顔が、30センチは上にあるトオルを見上げて言う。
「ありがとう」
トオルはその曇った表情のまま、素っ気なく答えた。
「悪いけど、今から出かけるから」
「ちょ!今日は観に行くって、その後話そうって、ラインで伝えたでしょ。わざわざ東京から来たんだよ!」
澪の笑顔が消え、トオルのTシャツの袖から伸びた逞しい腕を掴む。
長身で鍛え上げられた逞しい体型のトオルと、その美しい女性が並ぶと、ますます近寄りがたいオーラが放たれる。
まるで洒落た恋愛映画の一場面のようだ。
マヤの胸がまたチクリと痛んだ。
「もう話すことはないよ。何度も言ったよね?」
「トオルにはなくても私にはあるの。お願い!」
必死に訴える澪に、感情を動かされる様子もなく、トオルはマヤたちの方を向きながら言う。
「彼女たち、オレが招待して大阪から来てくれたんだ。これから食事に行くから。どうしてもと言うなら、今ここで聞く」
澪はマヤたちの方に視線を向けると、どう見ても目の前の美青年と接点の無さそうな、中年女性と女子中学生を怪訝そうな顔で見る。
マヤはいたたまれなくなって、
「あ、トオルくん、ユカと隣の公園に行ってるよ!ごゆっくり!」
そう言ってユカを促しながら、立ち去ろうとした。
「待ってください、マヤさん!」
トオルが澪を真っすぐ見据えたまま言う。
「彼女たちも一緒にここで聞く。それが条件」
澪は始め明らかに不服そうだったが、ふと意味深な表情に変わった。
「わかったわ。トオルがそれでいいなら」
トオルは一瞬訝しんだようだったが、手短かにね、とだけ言った。
ニコニコ微笑みながら目の前に現れた女性を見て、そう呟くトオルの顔が曇った。
「予選突破おめでとう!」
美しい顔が、30センチは上にあるトオルを見上げて言う。
「ありがとう」
トオルはその曇った表情のまま、素っ気なく答えた。
「悪いけど、今から出かけるから」
「ちょ!今日は観に行くって、その後話そうって、ラインで伝えたでしょ。わざわざ東京から来たんだよ!」
澪の笑顔が消え、トオルのTシャツの袖から伸びた逞しい腕を掴む。
長身で鍛え上げられた逞しい体型のトオルと、その美しい女性が並ぶと、ますます近寄りがたいオーラが放たれる。
まるで洒落た恋愛映画の一場面のようだ。
マヤの胸がまたチクリと痛んだ。
「もう話すことはないよ。何度も言ったよね?」
「トオルにはなくても私にはあるの。お願い!」
必死に訴える澪に、感情を動かされる様子もなく、トオルはマヤたちの方を向きながら言う。
「彼女たち、オレが招待して大阪から来てくれたんだ。これから食事に行くから。どうしてもと言うなら、今ここで聞く」
澪はマヤたちの方に視線を向けると、どう見ても目の前の美青年と接点の無さそうな、中年女性と女子中学生を怪訝そうな顔で見る。
マヤはいたたまれなくなって、
「あ、トオルくん、ユカと隣の公園に行ってるよ!ごゆっくり!」
そう言ってユカを促しながら、立ち去ろうとした。
「待ってください、マヤさん!」
トオルが澪を真っすぐ見据えたまま言う。
「彼女たちも一緒にここで聞く。それが条件」
澪は始め明らかに不服そうだったが、ふと意味深な表情に変わった。
「わかったわ。トオルがそれでいいなら」
トオルは一瞬訝しんだようだったが、手短かにね、とだけ言った。